2024.09.25 05:00
【能登豪雨】相次ぐ被災に全力支援を

秋雨前線や低気圧の影響で能登地方は大雨に見舞われた。21日には線状降水帯も発生し、22日午後までの48時間雨量は輪島市で約500ミリ、珠洲市で約400ミリと、観測史上最大の雨量を記録した。
多くの河川が氾濫し、土砂崩れも起きた。再び道路は寸断され、集落の孤立が相次いだ。住宅の浸水被害のほか停電や断水も発生した。
地震から8カ月余り、住民の事業再開や生活再建の取り組みが少しずつ増えてきたところだった。追い打ちをかけられた被災者の絶望や不安は計り知れない。復旧や復興の遅れも懸念される。
大雨被害は地震被災者が暮らす仮設住宅団地にも及び、住民は避難を余儀なくされた。
山地が多い能登半島では地震発生後、土砂災害や浸水などのリスクが懸念される土地にも仮設住宅が建設された。建設に適した用地の不足や迅速な住宅の提供などやむを得ない事情があった。とはいえ、入居当初から浸水を心配していた住民もいる。備えや住民への周知が十分だったか、今後検証が必要だろう。
一連の被害を巡っては、地震の影響で拡大したとの見方が出ている。
地震で地盤に亀裂が入った後も持ちこたえていた土砂が大量に流れ下った、と識者は指摘する。被災した河川の護岸や堤防についても「応急復旧だけでは十分な流量を受け入れられなかった可能性がある」との意見がある。
こうした地震と気象災害が重なる「複合災害」は過去にも起きている。2016年の熊本地震では地震発生の約2カ月後、豪雨で土砂崩れが発生。地震で地盤が緩んでおり、5人が地震に起因する死者と認定された。
日本列島は、南海トラフ地震などの巨大地震がいつ、どこで起きても不思議ではない。気象災害に関しても、近年は猛暑や豪雨といった異常気象が起きやすくなっている。地球温暖化が影響しているとみられ、災害が頻発し激甚化している。
国や自治体は、複合災害の危険度が極めて高い状況にあるとの認識を持ち、対策を急がなければならない。もちろん国民にも周知徹底し、被害を最小限に抑える必要がある。
何度も被災した人たちへの支援も急務になる。
専門家は、度重なる被災は住民の心理面にも影響を及ぼすと指摘する。生活再建への気持ちがそがれたり、自己否定に陥ったりするケースがあるという。建物などの財産的被害だけでなく、心のケアなどの対応も欠かせない。
被災者に寄り添った支援の継続と強化が求められる。



















