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2024.09.17 05:00

【日韓関係】後戻りせぬ努力を双方で

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 「戦後最悪」と言われるほど一時は冷え込んだ日韓関係は改善基調にある。これまでの潮流を後戻りさせない努力が双方に求められる。
 退任を控えた岸田文雄首相が先ごろ韓国を訪れ、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領と会談した。来年の国交正常化60周年を契機とし、両国の協力と交流を持続的に強化する方針で一致した。
 両国間の入国手続きを円滑化するため具体的な検討を始めると確認した。飛行機の搭乗待ち時間を利用して事前に入国審査を行う「プレクリアランス」を想定。観光客やビジネスマンの人的交流を促す。
 また、第三国で紛争などの緊急事態が起きた際、両国民の保護で協力する覚書を政府間で結んだ。在留者の退避を巡る輸送手段の協力では昨年4月、軍事衝突が起きたスーダンで先例があるが、日本が他国と覚書を交わすのは初めてという。
 文在寅(ムンジェイン)前政権時に両国関係が極度に悪化したのは記憶に新しい。
 韓国最高裁では、日本政府が解決済みとしてきた元徴用工らを巡る訴訟で日本企業に賠償を命じる判決が相次いだ。歴史問題に端を発した関係悪化は、経済や安全保障にも対立を広げた。
 好転したのは、韓国側の政権交代と、元徴用工問題で尹政権が昨年3月、日本企業の賠償を韓国の財団が肩代わりする解決策を示したことが大きい。
 尹政権の対応を評価した岸田首相は、日韓関係の正常化と「シャトル外交」の再開で一致。両首脳の会談は12回を数える。
 関係修復は米国を含む3カ国連携にもつながった。北東アジアで覇権主義的な動きを強める中国への対応のほか、今回の会談でも北朝鮮の核・ミサイル開発やロシアとの軍事協力に対処するため、緊密な連携強化で一致した。複雑化する安全保障環境においても、連携を背景とした外交と対話の努力が求められる。
 好循環は経済や文化面にも波及している。見解の相違があった新潟県の「佐渡島(さど)の金山」の世界文化遺産登録は、両国の粘り強い対話で着地点を見いだした。昨年は両国で相互の観光客数が1位になったのも関係の改善が後押ししていよう。
 ただ、根深い歴史問題を抱える隣国間に依然、火種はくすぶる。
 元徴用工問題の解決策や、東京電力福島第1原発処理水の海洋放出の容認など尹政権の対日姿勢に対し、韓国の最大野党は「屈辱外交」と攻勢を強めている。今春の総選挙で保守系与党が敗れた尹氏の政権基盤も盤石ではない。
 日本は自民党総裁選、立憲民主党代表選に続いて早期の衆院選も予想されるリーダーの交代期にある。
 関係を後戻りさせない努力はどちらか一方の責任ではあるまい。政権が代わっても大局観を持ち、隣国同士の複雑な感情を政治が利用することなく、信頼の醸成を続ける双方の対話がより重要になろう。
 国交正常化60周年を見据え、幅広い分野で協力するパートナー関係を発展させる具体策も問われる。

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