2024.08.28 05:00
小社会 疾走する街

過日滞在したベトナムのホーチミン市では、交差点のたびにスリルを味わった。4人が乗っていたり、信じがたい量の荷物を載せていたり。ガイドいわく、「渡る速さを変えるのダメね。走らない。止まらない」。
疾走するバイクそのままに、人口1億人弱のベトナムは経済成長をひた走る。4~6月の国内総生産(GDP)は前年同期比で6・9%増。日本との違いは、かたや平均48歳、かたや34歳という国民の若さにある。豊富な労働力は世界に広がり、今や高知も外国人のほぼ4人に1人がベトナム人だ。分厚い年齢層はこれから家庭をもち、住宅を構え、バイクの次に…。
日本の書店では対越投資のガイドが花盛り。ただ、懸念もいくつかある。驚いたのが、1980年代に5を超えていた合計特殊出生率が2を切ったこと。ある本はこう評する。「活気あふれるベトナムも、日本の後を追いかけているのです」
タイでは少子高齢化が進み、韓国も昨年の出生率が過去最低の0・72になったと伝わる。もはや、経済が膨らむと人口がしぼむという相関は宿命的な法則のように映る。
夕暮れ。音量を一段と増したバイクの向こうに、建設中の地下鉄駅が見えた。再び訪れる頃、喧噪(けんそう)は少し収まっているだろうか。




















