2024.07.01 08:47
【WEB限定】 能登半島地震から半年 地方紙記者が見た被災地 全国11社連携企画
能登半島地震から半年の間、北國新聞社(石川県金沢市)を含む全国の地方新聞社が現地に記者を派遣し、被害の大きさや復旧・復興に向けた動きを継続的に報じてきました。今回は地方紙の連携企画として、高知新聞社を含む11社の記者が「あの時」を振り返り、「これから」の被災地に寄せる思いをつづりました。

高知新聞報道部・八田大輔
1月と4月、珠洲市や輪島市を取材した。20本以上の記事で被害状況を伝え、来たる南海トラフ地震への備えを問い直している。
吹雪に震えながら車中泊で取材した1月、足が向いたのは珠洲市若山町の中山間集落だった。そこは植林と棚田、細い道、高齢住民―。暮らしの風景がそのまま、高知県に重なった。
「全滅じゃ。海も山も」

避難所に身を寄せる高齢者ら。持ち寄った食材で温かい食事を作ったり、トイレ清掃を分担したりと地域力を発揮していた(1月12日、珠洲市の旧上黒丸小中学校)
この様子を「山間避難所 地域力発揮」の見出しで掲載した日、記者の電話が鳴った。相手は高知県の男性。声をうわずらせ「新聞見た。お年寄りの様子、高知と一緒や。涙出るわあ。頑張ってほしい」。
4月。再訪すると人口流出が地域を襲い、田植え時期の田んぼは乾いたまま。76歳の男性地区長は「山の生活は力を合わせれば何とかなる。でも人がいなくなった」と嘆いた。
そして今、ぽつぽつと住民が戻っているらしい。この地域に住み続けたいと、復興住宅の建設を要望する予定だという。
涙出るわあ…。
能登の歩みは、南海トラフ地震に直面する私たちの姿でもある。だから絶望にも希望にも、読者は思いを寄せ、エールを送る。
取材班はこれからも「能登の今」を伝えていく。
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北國新聞社会部兼写真部・三上聡一
「止まっていた時間が動きだした」。そんな感覚だった。…



















