2026年 02月06日(金)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

高知新聞PLUSの活用法

2024.05.17 05:00

【カスハラ】根絶への取り組み急げ

SHARE

 客が従業員らに理不尽な要求を突き付ける「カスタマーハラスメント」(カスハラ)が近年、社会的な問題になっている。厚生労働省は、労働施策総合推進法を改正し、従業員を守る対策を企業に義務付ける検討に入った。政府は6月ごろに策定する経済財政運営の指針「骨太方針」に方向性を明記するという。
 被害を受けて精神疾患を発症したり、退職に追い込まれたりする人も少なくない。根絶への取り組みを急ぎたい。
 カスハラは、客や取引先が立場を利用し、従業員に威圧的な言動や過剰な要求を突き付ける迷惑行為だ。交流サイト(SNS)で個人情報を拡散させるケースもある。
 サービス業などの産業別労働組合「UAゼンセン」が今年、約3万3千人に行った調査では約47%が「直近2年以内でカスハラ被害にあった」と回答した。具体的には「暴言」「威嚇・脅迫」「同じ内容を繰り返すクレーム」が多かった。
 同じ嫌がらせでも、セクシュアルハラスメントやマタニティーハラスメントは男女雇用機会均等法で、パワーハラスメントは労働施策総合推進法でそれぞれ事業主に防止措置を講じるよう義務付けている。
 一方、カスハラには、厚労省が2022年に策定した企業向けの対策マニュアルはあるが、法律による規制がなく、明白な犯罪行為がなければ法的対処が難しい。そのため、労働団体側からは法整備を望む声が上がっていた。
 義務付ける具体的な対策としては、対応マニュアルの策定や従業員から相談を受ける社内体制の整備などが想定されている。
 カスハラの背景には、日本社会に特有の「顧客第一主義」があると指摘されている。法整備が進めば、企業が従業員の安全や健康を守りやすくなり、労働環境の改善が進むことが期待される。
 検討課題はカスハラと正当なクレームとの線引きだ。客からの苦情や指摘は、業務改善や新たなサービス開発につながり、企業にとって有益な場合もある。カスハラの定義を明確にすることが必要だろう。
 悪質な商品や対応に意見を述べるのは、消費者の当然の権利だ。損なわれることのないよう、慎重に検討してもらいたい。
 カスハラを巡っては、対策強化の動きが官民で広がっている。
 厚労省は昨年9月にカスハラ被害を労災認定基準に追加した。人事院も今年2月、国家公務員についても公務災害と認定できるよう指針を改正した。
 東京都は本年度内の都議会への防止条例案提出を目指している。北海道議会でも同様の動きがある。
 JR東日本は今春、カスハラの場合は客に対応しないとの方針を表明した。全日本空輸も本年度、乗客の不当な要求を抑止できるよう運送契約を定めた約款を改めるという。
 こうした動きを機に、いかなるハラスメントも許されないとの意識を改めて社会で共有したい。

高知のニュース 社説

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月