2024.05.07 08:00
地空 世襲とシャクヤク 報道部・芝野祐輔

高知市春野町秋山の雨森芍薬(しゃくやく)観光農園。入場無料で約30年続けるうち、「ゴールデンウイークにだけ開く花の園」として有名になり、今季も大勢の来園者でにぎわった。
農園は雨森広志さん(89)が趣味で営んできたが、ここ数年は高齢化や病気で花の世話に難渋していた。一時は閉園も考えたが、24歳の孫が「おじいちゃんの花を絶やしたくない」と継いでくれた。「ありがたい。世間じゃ、世襲できずに家業を絶やす人も多いきに…」
長年培った技術を持つ職人、街角のあの名店―。後継者に恵まれず、惜しまれつつ活動に幕を下ろす人々がいる。一方、批判もどこ吹く風で、身分をがっちり世襲する人々もいる。
政治家がそうだ。例えば、岸田文雄首相は、祖父も父も衆院議員を務めた“3代目”。力を振るった自民党の二階俊博元幹事長も、次期衆院選への不出馬を表明したが、代わって三男の出馬が取り沙汰されている。
親子でも別人格。世襲議員にも志や能力の高い人はいるだろう。一概に否定できないが、雨森さんは「政治家の世襲はいかん。家業じゃないきに」。
雨森さんも、旧春野町議を7期、県議を4期務めた元政治家だ。最後は選挙で敗れ、地盤を息子に譲る道もあった。しかしそうはしなかった。
「政治家はしがらみが多い。新しく出た人が、新しい政治をやればいい」。雨森さんの見つめる先、盛りを過ぎたシャクヤクが風に揺れていた。























