2026.05.14 10:30
生成AIで注文書処理や見積もり作成… 業務効率化へ高知県内の各社が試行 導入の鍵は「ノウハウ蓄積」

AIを発注書の処理に活用しているアイデアを説明する井上石灰工業の今田潔さん(南国市蛍が丘2丁目)
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ミニトマトの育種を手がける井上石灰工業(南国市)はグーグルのAIを利用。ファクスで届く注文書や各ほ場で週1回記録する生育状況を取り込み、担当者間で共有するシステムを構築した。これまでは担当者が注文書を見ながら商品名や数量、納品日などの情報を手作業で入力しており、時間がかかる上、ミスも起きやすかったという。
一方、導入当初はAIの〝ミス〟もあった。ファクスなどの解析で、宛先の「井上石灰工業」を発注者名と誤認したり、日付の「25・11・26」を平成25(2013)年と解釈したり。
AI活用を担当する技術開発部の今田潔さん(38)は「AIへのプロンプト(指示)は、細かく書き過ぎると精度が落ちる。指示を明確化し、シンプルな内容に整える必要があった」と振り返る。「まずはAIで業務効率化できるというメリットを周知したい」とし、今後も現場の有志で活用できる業務を探っていくという。

AI活用の促進で「年8千時間の業務時間削減を目指す」と話す宮地電機の宮地宏明常務(高知市本町3丁目)
電気設備機器卸・販売の宮地電機(高知市)は昨年5月、専門家を交えてAI活用プロジェクトを立ち上げた。男性の育休取得促進や完全週休2日制の導入に取り組む中、休みやすい環境を整え、時間外勤務も削減していくためだ。
同社はマイクロソフトのAIを導入。経費のルールや就業規則を認識させ、「○○を買った場合の経費科目は?」「結婚した時に必要な手続きは?」といった社員の質問にチャット形式で回答する仕組みを試行している。
本年度の目標は「年8千時間の業務時間削減」。達成に向け、AIが図面に記された配線や器具の配置や数量を読み取って見積書を作成する仕組みの導入を目指す。このほかにも効率化したい業務を社員で洗い出し、AI化を試すというサイクルを回しながら活用の裾野を広げていく考えだ。
「人間は人間にしかできない分野に注力できる体制を整えたい」。宮地宏明常務(52)は、AI活用の意義をそう語る。休みの確保などのほか、顧客と接する時間の確保や社内コミュニケーションの充実などにもつなげていく狙いだ。
■大企業ほど積極的
四銀地域経済研究所(高知市)は昨年8~9月、県内239事業を対象にAIの活用状況を探るアンケートを実施した(回答率66・1%)。「活用予定はない」が52・6%を占めたものの、「活用している」が21・5%、「検討中」も25・9%で、前向きな企業も半数弱。そうした企業の77・8%が従業員200人以上で、規模の大きな企業ほど積極的な傾向にある。
既に活用している分野としては、文書要約やデータ整理などの「業務効率化」が81・3%で最多。一方、導入の課題や懸念として「活用するノウハウや知識不足」を挙げた企業が75・2%に上り、人材の育成や推進態勢の整備が進んでいない状況もうかがえる。
同研究所の森下和佳奈・主任研究員は、人材育成について、本年度も高知市が実施を予定する「リスキリング支援事業」など、AIやデジタル化について学習する機会を利用するのが有効とアドバイス。
「AIの能力は驚くほどのスピードで向上しており、市場はさらに拡大するだろう」といい、「人手不足が続く中、AIやデジタル化による業務効率化、生産性向上は不可避。誤情報の生成などリスクや課題の理解も深め、AIとどう付き合い、成長につなげられるかが問われている」としている。(海路佳孝)




















