2026.05.06 05:00
【給付付き税控除】幅広い国民の理解追求を

給付付き税額控除は、所得税の控除(減税)と現金給付を組み合わせた制度を指す。日本では現在、財政の制約を受ける中で、支援が必要な層を効率的に支える仕組みが求められており、それを実現しやすい制度として捉えられている。
確かに、これまで手取り増加や低所得者対策として行われてきた支援策は課題を併せ持っていた。
一律の給付金や減税では高所得者層にも恩恵が及び、ばらまきの指摘を受ける。いま取り沙汰されている消費税減税も富裕層ほど恩恵は大きい。所得減税を巡っては、減税額より支払う額が少ない低所得者は恩恵を受けられない問題もある。
また、低所得者支援は住民税非課税世帯で線引きされることが少なくない。課税基準のすぐ上にいる勤労者や現役世代の多くが対象から漏れ、不満が出ることもあった。
給付付き税額控除は、これらを解消し、所得再分配や格差解消の新たなシステムとして機能しうるとの観点から、政治分野だけでなく有識者らからもおおむね評価されている。就労促進や働き控えを解消する仕組みも導入可能とされる。
制度の有用性は米国や欧州などで広く導入されていることも物語るが、福祉対策か経済対策か、就労支援か低所得者対策か、など目的と手法がそれぞれ異なる。日本では何を主眼にするのか。理念や目的でしっかりと合意形成を図りたい。
これまでの国民会議の議論では、社会保険料負担が相対的に重い層が制度の前提にあるようだ。社会保険料は収入に対して定率でかかり、中低所得の現役世代に特にのしかかる。今後は、対象とする所得水準、支援の額、さらにそれに必要な財源の論議が焦点になる。
技術的な課題の一つは、対象者の所得を把握する仕組みだ。現時点で全容把握は難しく、国民会議は「簡易型」から段階的に導入する方向を示す。公平性の面から金融所得などを把握する必要があり、継続的な検討が欠かせない。運営事務の面でも、負担増大への市区町村の懸念は強く、簡素化が求められる。
国民会議は夏前に中間取りまとめを予定する。国民生活に大きな影響を及ぼす構造改革だが、制度が難解な印象があり、関心は高いとは言えないだろう。世論を巻き込む取り組みも意識するべきだ。
高市早苗首相は、2年間の消費税減税を「つなぎ」とし、給付付き税額控除を「改革の本丸」としている。ただ、消費減税は財源やシステム改修のハードルの高さから実現の見通しは立っていない。
各党は2月の衆院選で消費減税に言及した経緯がある。展望や給付付き税額控除との兼ね合いについて説明責任を果たす必要がある。




















