2021.08.10 08:50
世界的ダンサー・菅原小春さん「私、高知に引っ越しました」 よさこいが縁「エネルギーがある」
高知城下を散策する菅原小春さん。愛犬パクチーと一緒に(高知市の藤並公園)
2年前、よさこい祭りへの飛び入り参加をきっかけに、この夏から東京との2拠点生活を始めたという。「高知の土地はすさまじいエネルギーがある。いい踊り、いい人のそばにいたい」
その話、もっと聞かせてもらえません?
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昨夏、土佐神社で舞を奉納した菅原さん(高知市一宮しなね2丁目)
「裕ちゃん、高知で家、探せる?」。引っ越しを決めたのは、東京のマンションの契約更新が1カ月後に迫った6月だったという。2年前に飛び入り参加したよさこいチーム「須賀IZANAI連」の国友裕一郎代表(43)に連絡した。
18歳で渡米し、海外を転々とする暮らしを続けてきた。それが昨年からのコロナ禍で世界は一変。「どうせなら、好きな人、踊りのある所へ行こう」。1日で物件を決め、2週間後に荷物を送った。
「食は最高。高知にはエネルギーがある。すごいリアルだと思ってる」
初めて高知に来たのは2019年の夏。友人のカメラマンに「小春、よさこいだぞ」と勧められた。国内外で名を知られるダンサーになっていた。「でも日本の祭りは無知だった」
よさこい本番の2日目。衣装を渡され、よく分からないまま地方車へ。「せいやー」。すさまじい爆音が響く中、老若男女が魂を一つにして踊り始めた。その姿に震えが止まらず、子どものように泣きじゃくった。
「私はずっと一人で踊ってると思った。けど、違った。仲間がいた。ダンサーとか肩書は関係なく、心が動くから体が動く。同じだって」
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高知市の日曜市で真剣に物色する菅原さん
俳優としてのオファーはほとんど断ってきた。今回の出演は「朝ドラだと福島の98歳のおじいちゃんが喜ぶと思った」。ただ、慣れない関西弁と車いすでの演技は過酷で「毎朝、体が痛すぎて泣きわめきながら起きてた」という。
「それでも、やるなら自分しかできない役をしたい。結局、苦しい思いをしたいんですね、私」
小さい頃から数々のダンスコンテストで優勝してきた。勝つための見せ方も、人を引き付ける構成も分かってきたが、優劣をつけることに疑問も感じてきたという。
「ダンスはビジネスじゃない。うまい下手とか、ないはず」。そんなピュアな思いの先に、衝撃的なよさこい体験が待っていた。
「高知の子どもの鳴子踊りを見て泣いちゃった。幸せなリズムで踊ってるなって。鳴子鳴らす時に、命、加わってるなって。踊りの本質的なものがある。だから私は高知にいるのかな」(村瀬佐保)
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