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2024.05.16 08:00

小社会 小山内さんの訃報

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 「3年B組金八先生」といえば小欄の世代は第2シリーズだろうか。教師らに「腐ったミカン」として排除され転校してきた不良生徒が卒業を前に、前の学校の放送室に立てこもる。

 刑事たちが突入し、金八先生が必死に叫ぶ前で教え子らが制圧され、連行される場面はスローモーション。中島みゆきさんが歌う「世情」が流れていた。校内暴力、中学生の妊娠、学級崩壊…。訃報が届いた脚本家、小山内美江子さんは時代性のあるテーマを描いた。

 脚本を引き受けたのは、受験戦争など高度経済成長のひずみに子どもたちが直面した時代だった。自死や家出のニュースに、中学生らのうめきが聞こえた気がした。「その子たちへの応援歌みたいなものを書いてみたい」(著書「さようなら私の金八先生」)

 後に俳優になる長男、利重剛さんはまだ高校生だった。集めてくれた中学時代の同級生に話を聞いた。その後も綿密な取材は続いたようだ。小山内さんは「(旧)文部省よりも教育現場を定点観測していた」と語っている。

 折しも、公立校教員の働き方改革が問題になっている。中教審の部会は残業代の代わりに上乗せする金額の引き上げなどを提言。ただ、それだけでは長時間労働の抑制や教職人気の回復は見込めないという声は根強い。

 昭和から令和へ。時代は移っても、子どもたちのうめきまで変わったのかどうか。先生が生徒と向き合う環境は整えたい。

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