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2024.05.06 05:00

小社会 立夏に

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 自宅庭のユキノシタがことしも満開になった。15年ほど前から増え始め、いまでは一角を占拠するまでになったが、生えるに任せている。

 白花をたくさん付けた花茎が立ち並ぶと、なかなか風情があるからだ。高浜虚子も詠んだ。〈はびこつて好きな花なり雪の下〉。ただし温暖化の影響だろうか。年々開花が早まっている。同じくドクダミもはや咲き始めた。

 きのう立夏を迎え、季節は夏に入った。初夏は本来爽やかな季節だが、ことしは真夏の勢いらしい。東北や日本海側ではきのう、気温が30度以上になった地域が相次いだ。自然には慌てず、穏やかに移ろいでもらいたいのだが。

 「季節」を急ぐ傾向にあるのはいま、人の世も同じ。例えば大学生の就職活動。人口減少で早期化している。特にことしの学生は4年生になった時点で既に58%が内定を得ているとの調査結果まであるから、たまげる。

 そんな動きに押され、なり手不足が課題の学校教員の採用試験も全国的に早まっているという。従来は7~8月の実施が多かったが、ことしは6月、来年は5月が増えそうだ。自然も人も余裕がなくなっていくようで怖い。

 気象学者の山本武夫さんが述べている。歴史は「『自然』・『人間』・『社会』が縦糸となり横糸となって織りなしている唐草模様です」(著書「気候の語る日本の歴史」)。慌てる自然や人間社会がこの先、どんな歴史を紡ぐのか不安になる。

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