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2024.04.30 05:00

小社会 「大錯覚展」

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  仕事柄、大型連休は飛び石で、遠出も難しそう。そんな味気なさが少しは紛れるかもと、「脳がだまされる不思議な世界」とのコピーにひかれ、県立美術館で開催中の「大錯覚展」を訪ねた。

 目から得た2次元情報は脳で3次元に処理される。錯覚はその際に生じるのだとか。絵、立体…、会場の作品群に、いかに人間の感覚があやふやであるかを思い知る。連休の退屈さも含め、脳を見事にだましてくれたような…。

 錯覚といえば日常的に「思い違い」「勘違い」の意味でも使われる。こちらは時々始末が悪い。「自分は偉い」との思い込みが招くパワハラはその一つで、昨今の事案の多さに閉口する。

 県内では、学校、病院、信用保証協会、移住センターで続き、上司に飲み代を強要した消防士もいた。県外でも町長の引責辞職が相次ぎ、よさこいソーラン祭り創始者の参院議員も批判を受ける。

 パワハラではないが、自民党も危うい錯覚の例に漏れまい。先の三つの衆院補選は不戦敗を含めて全敗した。敗因となった裏金問題などの背景には、野党の弱さで政権を維持できた面が強いのに、おごってしまった経緯があるだろう。その自覚なしに信頼回復はない。

 美術館の「大錯覚展」が面白いのは、分かっていてもだまされる不思議な感覚を堪能できるからだ。自らを客観視できない、独りよがりの認識が次々出てくる「大錯覚展」は、見苦しいだけで遠慮願いたい。

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