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2024.04.25 08:00

【自民政治改革案】甘い対応は不信を強める

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 「政治とカネ」問題に向き合う姿勢が国民から見られていることを意識すべきだ。厳しい批判を受け止めず、甘い対応を重ねては政治不信は払拭できない。
 自民党は派閥の政治資金パーティー裏金事件の再発防止へ向け、政治資金規正法改正の独自案を示した。政治資金収支報告書を提出する際に国会議員による「確認書」添付を義務付ける。不記載・虚偽記載への監督責任を明確にする。
 現行法は収支報告書の不記載などに会計責任者の罪を定めるだけで、政治家の共謀を立証することは難しいとされる。裏金事件では安倍派の会計責任者が在宅起訴されたが、派閥幹部は関与が明確にならず、立件は見送られた。現行法の限界が指摘された。
 このため自民案は、議員の罰則規定を盛り込んでいる。しかし、適用要件は限定する。
 会計責任者が収支報告書への不記載や虚偽記載で処罰され、議員が必要事項を確認せずに確認書を交付した場合に絞った。罰則を受けた議員の公民権停止を付記し、連座制に近い仕組みで改革を印象付けようとしても、踏み込み不足は否めない。
 公明党案は、議員が会計責任者の選任または監督に注意を怠った場合に罰金刑を科す。自民案より厳格化を打ち出していることで、与党内の温度差が鮮明になる。
 岸田文雄首相は今国会での規正法改正実現を表明している。ただ、主要各党が改革の方向性を表明する中、自民は独自案の作成を見送る構えだった。批判の高まりに首相が取りまとめを急ぐように指示して、ようやく提示に至った。自民の対応には公明からも不満の声が上がる。
 与党は合意を5月の大型連休後に持ち越す方針を確認した。政治改革を巡る両党の意見の隔たりが大きいことを物語るようだ。
 厳罰化を巡っては野党も、選挙で陣営に一定の罪があった場合は当選無効となる公選法の連座制と同様の効力を規正法に求める。政策活動費の廃止や使途公開、企業・団体献金の在り方でも対立する。
 与野党は26日に衆院政治改革特別委員会を初開催する。規正法改正に関し各会派が意見を表明し議論を始める。論点によっては野党間でも意見の相違がある。徹底した議論で実効性を高めることが重要だ。
 また、国会議員に月額100万円が支給される「調査研究広報滞在費」(旧文書通信交通滞在費)の支出公開も議論が停滞している。先送りするばかりでは不信感が強まる。
 そもそも裏金づくりがいつ始まり、いったんは中止を決めながらなぜ復活したか不明だ。真相解明をないがしろにしたままでは再発防止の機能強化は望めない。還流自体は違法ではないとはいえ、収支報告書に記載せず使途も明確にしない理由を明らかにすることが求められる。
 政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるように、規正法は強化する必要がある。抜け道をふさぐことを避けてはならない。

高知のニュース 社説

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