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2024.04.25 08:00

小社会 防犯の指南本

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 古書店主でもある作家、出久根達郎さんの著書に「書物の森の狩人」がある。古くて面白い奇書、希少本を軽妙に紹介。その中に昭和初期刊の「盗難防止の研究」なる本が出てくる。

 例えば、庭で飼う大型犬を手なずけるのは、その道の者にとっては赤子をあやすより簡単だ。前もって所在が分からない室内犬はどうにも弱る。飼うなら室内犬がよろしい―。防犯について幅広く、具体的に教えてくれる。

 実は、著者は元泥棒の男。出久根さんによると「その道の達人たりしため、29年も獄にあった、大変すごいお方なのである」。どういう経緯で出版に至ったのかは分からない。すっかり更生し、説得力あふれる経験と反省をもって読者に防犯の指南本を、ということだったか。

 こちらは経験と反省が「防犯」や再発防止に生かされてきたのか、心もとない。改正を何度重ねても、「抜け道」がふさがらない政治資金規正法。「泥棒が自分を縛る縄をなうような」と辛口で評する識者もいる。

 裏金事件を受け、自民党が法改正の独自案を示した。だが、改革の本気度はうかがえない。他党が明示する議員の連座は適用要件を絞っている。政策活動費などの透明化も見通せない。「甘い蜜は手放さないと言わんばかり」。そんな指摘がうなずける。

 このままでは再発防止の指南書にもなるまい。やはり、なぜそんなに金が要るのか、裏金は何に使ったのかから知りたくなる。

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