2023.10.28 08:37
98歳「先生」弓を引く 高知市の楠瀬さん 最高齢でねんりんピックへ
弓を引く楠瀬甲一さん=手前(写真はいずれも高知市丸ノ内1丁目の弘徳館)
楠瀬さんが弓道に出合ったのは15歳、県立農業学校(現高知農業高校)の1年時。「でかい、おっさんみたいな5年生」に弓道場に呼び出され、弓を引く手に着ける革製のグローブ「ゆかけ」を渡された。「上級生に反抗したらしまい」の時代で、言われるままに入部。1年間は的作りや矢の回収を続け、2年目から指導を受けて徐々に上達した。
ところが教員養成学校に通い始めた直後の1945年6月に召集が来た。香川県丸亀市で通信兵としての教育を受けた直後に敗戦。帰郷後は養成学校を経て中学教員を務めたが、弓道から離れたままだった。
定年退職後、やはり教員だった妻の教え子が訪ねてきて、帆布の袋に入れて部屋につるしていた「ゆかけ」に気づいた。「先生、弓道やるが? また始めたら?」。弓矢をプレゼントされたことをきっかけに、県立武道館分館「弘徳館」に通うようになった。…