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2023.09.28 11:06

【記者コラム】初の国際総合大会取材に右往左往 アリババの街、設備、食事も充実のメディア村

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 ライトアップされたフェンシング会場=9月26日、杭州(共同)

 【杭州】入社して20年、これまで五輪など国際総合大会の取材には全く縁がなかった。運動記者生活のほとんどをプロ野球と大リーグの担当として過ごし、野球場のある日米の都市はほとんど訪れた。一方、中国は、プライベートも含めて近くて遠い国だった。成田から直行便で約3時間。アジア大会を開催する杭州に初めて降り立つと、想像以上に近代化された街に驚いた。さすが電子商取引(EC)大手、アリババグループが本社を置く経済都市だと感心した。(共同通信・松下裕一)



 大会期間中に滞在しているのは通称“メディア村”で、中心街からやや離れた、開発が進んでいるエリアにある。東京ドーム約17個分の敷地に大会後に売り出される高層マンションが立ち並び、生活に必要なものはほぼそろっている。長期出張には欠かせない洗濯機がベランダに置かれ、各棟に乾燥機まであるのは非常にありがたい。これで部屋に冷蔵庫があれば言うことはなかったが…。



 もう一つ出張生活で大事なのが食事だ。バイキング形式で種類は豊富に用意されている。中華や洋食はもちろん、イスラム教の戒律に従ったハラル料理まであり、各国から訪れるメディアの好みに応えている。



 やや油分が多いのが気になるが、朝食が無料で、夕食は20元(約400円)なのだから文句は言えない。食堂内にはピザハットやKFC(ケンタッキーフライドチキン)まで入っており、KFCのブースでクッキー地のアイスクリーム「CREMIA」を発見した際は思わずうれしくなった。



 大会前半に担当するフェンシングの競技会場まではバスで1時間ほど。メディアには公共交通機関を無料で利用できるICカードが与えられており、もっぱら地下鉄を利用している。



 どの路線の車内もきれいで、待ち時間も5分以内と利便性は高い。ほとんどの乗客がスマートフォンを見ているのも日本と同じ光景だ。



 競技会場となっている大学の体育館では学生がボランティアとしてきびきびと動き回っている。あまり英語が通じずに翻訳アプリを使ってやりとりすることが多いが、こちらの仕事が少しでもやりやすいようにと一生懸命にサポートしてくれる姿勢がすごく伝わる。



 お辞儀や、はにかむような笑顔を見せてくれることもほほえましい。ある学生に話を聞くと「今回のボランティアは各国のメディアと交流するまたとない機会」と考えて応募したという。「このぐらい自分でできるよ」という言葉をぐっと飲み込み、好意に甘えている。



 フェンシングは予選が午前から始まり、取材や執筆が午後10時過ぎまでと一日が長い。先日はメディア用のバスを30分待つより、少しでも早く帰りたいと初めて帰路でも地下鉄を使ってみた。



 すっかり乗り換えにも慣れてメディア村がある路線のホームに行ったまでは良かったが、何やら様子がおかしい。ホーム上のモニターには赤い見慣れない文字が。漢字から推測してどうやら終電に乗り遅れたようだ。ホームで同じように終電を逃したメディアパスをぶら下げるロンドン在住のカメラマンとタクシーをつかまえることを決めた。



 配車アプリで無事に乗車したまでは良かったが、今度は運転手が道に迷って隣接の選手村に行ったり、同じ所を回ったりと本来なら電車で1駅分の距離の移動にたっぷり1時間はかかった。



 遠くから見慣れた高層ビル群が確認できた時には思わずほっとし、初対面のカメラマンとがっちり握手して別れた。

(c)KYODONEWS

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