2023.04.06 08:38
新小学1年生はマスクする?「素顔でみんなの顔を」「外す雰囲気ではない」高知県内保護者、意見割れる 医師「まず先生から外して」
イラスト・松本康裕
「子どもには外させたい。素顔で向き合って、みんなの顔を早く覚えて、学校生活になじんでほしい」
高知市の小学校に長男が入学する母親(36)の願いだ。「子どもらしく、のびのびさせてあげたい。マスク生活が続くと、子ども本来の豊かな表情が損なわれる気がする。先生も外して、喜怒哀楽を見せてほしい」と力を込めた。
別の家庭の父親(35)も「今までは、社会的な流れを受けて強制的に着けさせてきた。マスクを外して、コロナ禍前のように友達と話してもらいたい」。ほかにも「感染状況が落ち着いている」「子どもは重症化リスクが低い」として、外させるという声も少なくない。とはいえ、「みんなが着用してたら困るから」「周りの状況、その時々で子どもに判断させたい」として、マスクは持たせる保護者が多いようだ。
一方で「まだ着けさせる」という声も根強い。高知市の父親(42)は「『あの子マスクしてないねー』っていう非難の声が息子の耳に入ったら、傷つくかもしれない。社会全体が積極的に外そうという雰囲気ではなく、まだ世の中が追いついていないと思う」。
別の父親(49)は「極めて日本人的発想だと思いますけど、職場も含め今も大多数の人が着用しているので」と語り、様子見を続けるとした。
では、学校現場は?
高知市のある校長は「これまでの慣れで、着け続ける先生が多いと思う」と答え「少なくとも、5月にコロナが(感染症法の位置付けで季節性インフルエンザと同じ)5類に移行するまでは変わらないのでは」とした。
これに対し、小児科医で県感染症対策協議会の吉川(きっかわ)清志会長は「顔の表情を隠すマスクは、発達段階の子どもの成長にマイナスが大きい。表情を読み取ることで人付き合いや距離感を学ぶ。まずは大人が外さないと子どもは外しづらい。『個人の判断』ではあるが、先生は子どもの成長のために、率先して外してもらいたい」と呼び掛ける。
高知大学教育学部の玉瀬友美教授(教育心理学)は「4、5歳から相手の表情で気持ちを読み取ることができるようになると言われている。保育・幼稚園の現場では先生が目の動きや手のジェスチャーを大きくして対応してきたのを見た。マスク着用を続けるならば、こうした工夫をしてほしい」と訴える。
国は入学式について、児童や教員はもちろん、保護者もマスク不要とし、一定の距離を取ればマスクなしでの校歌斉唱も可能とした。学校生活では黙食も必要なし、としている。(加治屋隆文、加藤風花)