2023.03.24 08:40
手作り楽器が伝統...高知・沖の島中学校の「箱ハープ」、2人の生徒が山形の音楽会で力合わせ演奏へ
本番が近づく中、練習に打ち込む=右から=増本稟子さんと増本瑚々花さん(写真はいずれも宿毛市沖の島町の沖の島中学校)
沖の島中3年の増本瑚々花(ここな)さん(15)と1年の増本稟子(りこ)さん(13)。取り組むのは手作り楽器の普及活動をする泉谷貴彦さん(65)=土佐清水市=が製作した「箱ハープ」と呼ばれる楽器で、透明感のある柔らかな音色を奏でる。
手作りの「箱ハープ」。瑚々花さんはシャープな音を求めて爪で弾き、稟子さんは指の腹で弾いて柔らかな音を出す
6年ぶりの県外演奏のきっかけは、昨年11月に宿毛市内で開かれた音楽会。練習の様子を、泉谷さんが指導に訪れる山形県最上町の担当者に見せたところ、工夫を凝らして上達する姿に胸を打たれ、音楽会への招待を受けたという。
当日は現地の人との共演も含め12曲を演奏する予定で、10曲は初めて挑む曲。瑚々花さんは受験勉強の傍ら練習を重ね、中低音を担う稟子さんは「これまでの頑張りを出し切りたい」と楽器を自宅に持ち帰り、時には1日3時間ほど向き合った。
「みんなで呼吸を合わせる大切さを学んだ。本番も落ち着いて周りを意識する」と話す瑚々花さん。20日は一緒に出演する教員の中山唯さん(39)も交え、タイミングなどの細部を丁寧に確認し合った。現地で待つ泉谷さんは「何げない努力が実はすてきなことだと実感してほしい」とエールを送る。(坂本出)