2023.01.29 08:40
宮尾登美子さんを語る 高知市の下知図書館でおいの岸田さん
宮尾登美子さんの貴重な写真とともに、思い出を話す岸田康彦さん(高知市二葉町の下知市民図書館)
宮尾さんは1962年、県社会福祉協議会を退職して文筆活動に入り、66年に上京。73年に自伝的小説「櫂」で太宰治賞、79年には「一絃の琴」で直木賞を受賞。人気作家となり、多くの作品が映画、舞台化された。
岸田さんは宮尾さんの兄の子。叔母は、高知に多額の借金を残して上京したと明かし「僕のとこにもお金を借りにきたことがある。『あんたんくのおばさんは…』と文句を言われたこともある」と苦笑い。
自伝的な作品の中に、父親を刀で切り付けたというくだりがあり「まさかと思って聞くと、『本当でえ』と返ってきた」。宮尾さんが北海道に一時移住した際には電話で「康彦ー、さみしいから遊びに来てくれ」と請われたなどと振り返り、「快活な人やった。世間知らずのお嬢さまやったき、あんなに借金こしらえたのかも」と笑っていた。
話を聞いた80代の女性は「50年ほど前、丸ノ内緑地にあった公民館で本にサインしてもらった。懐かしいです」と思い出を重ねていた。(川田樹希)