2022.08.16 08:40
3世代で平和の尊さ伝える 7歳磯野君(高知市)追悼式最年少 「戦争いかんことや」
3世代で全国戦没者追悼式に参加した磯野万葉君=左=ら(東京都千代田区の日本武道館)
万葉君の曽祖父(夏恵さんの夫・実さんの父)、吉川重久さんは、1942(昭和17)年11月に東部ニューギニアで戦死。大伯父(夏恵さんの兄)、公文良男さんも、41(同16)年4月に中国湖北省で戦死した。
良男さんが23歳で亡くなった翌年に、夏恵さんは生まれた。「とても頭の良い人だったとか。(戦死が早い時期で)地元では大勢の人が並んで遺骨を迎えたそうです」
重久さんについては「優しい人で奥さんをすごく大事にしたと聞いています」。家に届いた白木の箱に遺骨はなく、中身は眼鏡とたばこ入れ。しかし、重久さんは眼鏡をかけず、たばこも吸わなかった。このため、実さんは「父が生きているかもしれない」との思いを捨て切れず、ニューギニアへ3回も慰霊訪問したという。
裕三さんは、8年前に亡くなった父・実さんの思いを受け継ぎ、戦没者慰霊に力を注いできた。県遺族会青年部の役員として取り組む忠霊塔の清掃活動には、万葉君を小学校入学前から連れて行っている。
「みんなとお掃除するのは楽しい」とにこやかに話す万葉君。裕三さんは「活動にどういう思いが込められているかは、まだ分からないでしょう。でも中学生、高校生になれば分かる。戦後77年間の平和は、亡くなった人たちのおかげ。後世に伝えていかないと」と優しく見守る。
夏恵さんも「万葉はロシアのウクライナ侵攻のニュースを見て『戦争って人の殺し合いやろ、いかんことや』と言ったこともある。これからも命や平和の大切さを学んでほしい」と話した。(片岡昭夫)