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2022.08.25 05:00

「ついに上京する」シン・マキノ伝【8】 田中純子(牧野記念庭園学芸員)

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 明治14(1881)年、牧野は東京へ旅行することを思い立った。東京では、勧業博覧会が開催されていたので、その見物をして、いろいろな書籍と顕微鏡を買いたいという思いもあった。

 出発は4月。当時東京へ行くことは外国へ行くような感覚であったので、盛大な送別を受けて、佐川から高知へ出た。同行者は以前岸屋の番頭であった佐枝竹蔵の息子・佐枝熊吉と、会計係として頼んだ実直な人であった。高知からは船で神戸に向かった。初めて汽船に乗った。

 話が東京行きからそれるが、海を生まれて初めて牧野が見たのは、上村の伝記によれば、明治2年7歳の時であった。祖母に連れられ高岡村に行き祖母の実家・川田家に滞在している時に、その村から南に行ったところにある新居村で海を見たのである。「その浜へ打ち寄せる浪(なみ)はかなり高く繰り返し繰り返しその浪頭が巻いて崩れ倒れる様を見て、私は浪が生きているもののように感じた。」とは「自叙伝」に記された牧野の感想である。

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