2022.07.17 08:46
田中のたこ焼き 愛され62年 伊野の「ソウルフード」 ピリ辛味「ふと食べたく」―ちいきのおと(79) 新町(いの町)
田中たこやき店を切り盛りする田中文さん=左=と節子さん(写真はいずれもいの町)
看板もない店は一見普通の民家だ
鉄製のたこ焼き器はかれこれ50年近く使っている
「味は昔から変わっちょらん」とは、文さんのしゅうとめ、節子さん(91)。2年前に膝を悪くしてからたこ焼きは焼いていないが、お客さんの話し相手を務める“看板娘”だ。
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店はもともと、節子さんの夫・佑和さん(故人)の両親が始めた。その後、節子さん夫妻が継ぎ、23年前から文さんも手伝うようになった。
開業当時、町内でたこ焼きの販売は珍しかったそうで、中高生や親子連れ、製紙会社の社員らがひっきりなしに来店した。節子さんは「伊野の電停の最終便に合わせて11時ごろまで営業しよった」と懐かしむ。
それから約60年間はいろいろあった。伊野中生が買い食いを禁じられたり、店に近いJR伊野駅を利用していた伊野商高生が枝川駅(86年完成)で乗り降りするようになったり、なじみの客が高齢者施設に入ったり…。今の客入りは往時の3分の1か4分の1という。
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昭和の雰囲気が漂う店内
これほどまでにやみつきになる秘訣(ひけつ)は何なのか。文さんは「ソースは企業秘密。ざく切りのキャベツに、タコは創業以来継ぎ足す甘ダレに1日漬け込んで…」と話すうち、ぽろりと漏らした。「実はイカなんよ」
え?
「お客さんは割と皆知っちゅうと思う」と、節子さんが合いの手を入れる。タコよりイカの方がいいだしが出る、らしい。
「たこ焼き」と言っていいのか…。そんなためらいは、62年間愛されてきた事実を前に吹き飛ぶ。何より、取材を終えた記者も今また無性に食べたくなっているのだから―。
田中たこやき店のたこ焼きは8個400円。営業は正午~午後4時。月曜定休。(土佐支局・谷川剛章)
山崎菜央さん(11)伊野小6年
新町はコンビニ、スーパー、駅と生活に必要なものがそろってます。文具店もあって友達とおそろいのノートを買ったりするのが楽しい。春は、夜にライトアップされる琴平神社の桜がすごくきれいで感動的です。将来の夢は、大好きなこの地域に住みながら天神保育園の保育士になることです。