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2022.05.02 08:00

【政府コロナ対策】実態に即した見直し急げ

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 流行の「第7波」に備える上で、自治体の不安が示された結果と言えよう。
 新型コロナウイルス対策で、47都道府県の7割以上がまん延防止等重点措置の在り方を見直す必要性を指摘していることが共同通信のアンケートで分かった。第6波に伴う重点措置は、具体的な対策と感染実態のずれが指摘されていた。
 3年ぶりに緊急事態宣言や重点措置による行動制限がない中で大型連休を迎えたが、人の移動が増えることで感染の再拡大が懸念される。流行の谷間にある今こそ、これまでの対策を検証し、より効果的な内容へと見直しを急ぐ必要がある。
 政府は従来、緊急事態宣言に基づく飲食店への休業要請と、重点措置による酒類の提供停止や営業時間短縮の要請を繰り返してきた。1月以降に急拡大した第6波でも、政府はこうした前例を踏襲。重点措置の適用地域は一時、36都道府県にまで広がった。
 ただ、中には感染が拡大しても重点措置の適用を政府に申請しない県もあった。政府の示す基本的対処方針の枠内では、抑止効果に疑問があったからにほかなるまい。
 重症化しにくい半面、感染力が強いオミクロン株が流行の主体になったことで、感染経路にも変化がみられた。クラスター(感染者集団)が高齢者・障害者施設のほか、乳幼児施設、学校などで多発。政府が重視してきた飲食店は、感染拡大の主要な場ではなくなっていた。
 こうした実態を踏まえれば、アンケートで34府県が対策の見直しを求めたのは当然だろう。「飲食店中心の対策からの転換」や「高齢者・教育関連施設の対策強化」が必要との回答が過半数を占めた。
 流行はピークを脱したとはいえ、全国的に新規感染者は下げ止まった状況にある。ウイルスはオミクロン株の「BA・1」から「BA・2」へと置き換わりが進み、さらに別の派生型も国内で確認された。変化を繰り返すウイルスの特性や感染の広がり方に合わせ、柔軟な対策が求められる。
 しかし、政府には対策の検証や見直しに向けた積極的な動きはみられない。岸田政権は重点措置の適用判断に際し、都道府県の意向を重視したが、見方を変えれば地方任せの姿勢にも映る。情報発信でも専門家が前面に出る場面が目立った。主体性に乏しい印象は拭えない。
 感染症対策で、医療体制など地域の実情や、専門家の知見が重要なのは言うまでもないが、対策の方向性を決め、国民に説明する責任は政府にある。
 アンケートでは現状の重点措置に対し、9県がその効果を否定的に評価した。政府の対策の信頼が揺らいでいるといってよい。検証や見直しがなければ、不信感は一層膨らむだろう。
 非常時に政府と都道府県の足並みが乱れれば、国民の命や健康が脅かされかねない。絶えず対策に万全を期す必要がある。

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