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2022.02.19 16:30

中国、五輪で日常奪われた活動家 24時間監視、権力対峙17日間

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 テキ岩民氏(右)の自宅前で、テキ氏から提供されたいすに座って見張る男=4日、北京(家族提供・共同)

 【北京共同】「北京冬季五輪の開催期間中は、北京から出て行くように」。人権活動家のテキ岩民氏(60)は1月、当局から自宅のある首都を離れるよう迫られた。大会の順調な開催に腐心する中国の習近平指導部は、活動家や陳情者らへの監視を強化。テキ氏にとっての五輪は、権力と対峙する17日間だ。


 テキ氏が新型コロナウイルス流行に伴う移動制限を理由に当局の要請を拒むと、五輪が開幕した4日から妻、子犬と暮らすアパートの部屋の前に見張りが立ち始めた。当局は20日の閉幕まで続けると告げた。


 2人の男が12時間ごとに交代で24時間監視。買い物など最低限の外出しか認められず、出掛ける際は警察に行き先と帰宅時間を報告しなければならなかった。


 テキ氏は長年にわたり政治改革の実現を目指す活動に従事。過去に投獄されたこともあり、当局は五輪に合わせた抗議活動を警戒したとみられる。


 テキ氏によると、見張りの2人は警察に200元(約3600円)の日当で雇われた出稼ぎ労働者。東北地方出身だという。家族とだんらんするはずの春節(旧正月)の時期に薄暗い廊下に立ち続ける姿に同情し、いすやたばこを提供した。


 テキ氏は五輪を「1秒も」見ていない。「中国には貧しく犬のような暮らしをしている人がいる。国家のイメージのために巨額を投じて得たメダルにどれほどの価値があるのか」


 他の活動家も同様の監視下に置かれており、大会中、目立った抗議のデモや集会は伝えられていない。習指導部は混乱なく乗り切ったとして成功を誇る。閉幕すれば見張りは去り、競技の熱狂とは無縁だったテキ氏の五輪も終わる。

(c)KYODONEWS

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