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2024.05.17 08:30

北陸新幹線「開業実感」半数 読者アンケート 「駅周辺にぎやか」最多【なるほど!こうち取材班 パートナー紙とともに】

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 北陸新幹線が3月16日に福井県内で開業して1カ月となるのを機に、福井新聞の調査報道「ふくい特報班」(通称・ふく特)は、新幹線延伸後の意識を探る読者アンケートをLINE(ライン)などで行った。450人から回答があり「まちや暮らしの変化を実感していますか」との問いに、実感が「ある」が52%、「ない」は48%と、ほぼ半々の結果だった。

 「ある」と答えた人に具体的な変化を選択肢から選んでもらったところ、最多が「駅周辺がにぎやかになった」。「観光客が増えた」「商業施設の客が増えた」と続き、駅周辺での関連イベントなどの“開業効果”が実感につながっている傾向がうかがえた。

 ただし、少数ながら「関西に行く頻度が減った」「中京方面に行く頻度が減った」とした人も。自由記述では「乗り換えが大変」「関西・中京への移動が不便になった」との回答もあり、負の側面を実感している人は少なくなかった。

沿線外「変化ない」
 開業に前向きな変化を実感している人は、駅周辺の活性化に加え、移動時間の短縮、乗り換えなしで首都圏に着く利便性の向上を理由に挙げた。「自宅から新幹線が見える」と景観の変化を指摘する人が複数いたほか、「メディアで福井が取り上げられるケースが増えた」「高揚感を感じる」なども目立った。新幹線延伸で福井県が身近になり、就職活動の選択肢になったという県外出身者もいた。

 デメリットの理由は、「関西・中京に向かうのが不便になった」「帰省が大変。乗り換えの時間が短く緊張した」「鯖江駅に特急が来なくなった」など、敦賀以北のJR在来線特急の廃止、敦賀駅での乗り換えなどに意見が集まった。新幹線駅の駐車場が満車となっている実情を挙げる人も少なくなかった。ホテルや飲食店の値上げ、新幹線沿線での振動・騒音を指摘する人も複数いた。

 実感が「ない」との回答は、新幹線沿線から離れた地域が目立つ。嶺南西部や奥越をはじめ、開業前は在来線特急が通っていた鯖江、武生駅がある丹南からは「おおい、高浜地域は全く変わらない」「鯖江市は蚊帳の外な感じ」といった声が寄せられた。「移動手段はやはり車」「日常で鉄道を使うことがない」とする意見もあった。

 県内開業後に北陸新幹線を利用した人は全体の24%。今後利用する予定との回答は6割に上り、その最終目的地は圧倒的に東京が多かった(55・5%)。利用予定なしの理由は「利用する機会がない」が46%で最多で「他の移動手段を利用」「運賃が高い」の順だった。

乗り換えは不満
 新幹線とハピラインふくい(JR西日本から経営移管された在来並行線、第三セクター鉄道)の開業により、「不便になった」と答えた人は全体の43・1%。「便利になった」の11・8%を大幅に上回った。

 関西・中京方面との敦賀駅での乗り換えに対する不満が大半を占めた。新幹線やハピライン、JR在来線との乗り換えの手間に加え、新幹線を利用すると運賃が高くなることなどが挙げられた。

 ハピラインを使うという人も多く、特急サンダーバード、しらさぎとの接続を良くしてほしいという声や、快速の増便を求める声があった。「便利になった」「どちらともいえない」を選んだ人からも不満の声が出た。北陸新幹線は「1本で東京へ行ける」「北関東、東北へのアクセスが改善された」と歓迎する声の一方、鯖江市から嶺南の人からは東京へのアクセスの「メリットは感じない」という意見もあった。(福井新聞)



 県民・読者とつくる調査報道企画、高知新聞「なるほど!こうち取材班」(なるこ取材班)。連携する全国のパートナー紙の記事や県内の状況を随時掲載で紹介します。

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