2023.08.07 08:34
超絶技巧の先へ 吉村芳生の鉛筆画 初期から絶筆まで320点展示 高知県立美術館8/27まで
迫力ある細密な鉛筆画を残した画家、吉村芳生(1950~2013年)。活動初期から絶筆まで約320点が並ぶ回顧展「超絶技巧を超えて」が27日まで、高知市高須の県立美術館県民ギャラリーで開催されている。高知新聞社、RKC高知放送主催。
身近な風景や、自画像、新聞、花―。決して珍しくないモチーフを選んだ上で、膨大な労力を費やし、他の人がまねできないような独自の表現を深めた。
「なぜ自分は描くのか。表現する意味を一貫して考え、社会の中で変化していった作家。単に超絶技巧というだけでは到底くくり切れない」と専門家は語る。
展示作品の中から、幅10メートルを超える菜の花の大作などを紹介する。
文・徳澄裕子 写真・森本敦士
菜の花 天地を逆転
未知なる世界からの視点(2010年、202×1022センチ)
山口に戻り、1990年代から新たな作風に挑んだ吉村。都会的なモノクロの作品から一変して、色鉛筆で彩り豊かに描写した花の絵を発表していく。
生活のための売り絵として制作し始めた面もあるが、ただ美しい写実絵画にとどまらず、花にメッセージ性を込めるようになる。徐々にスケールも大きくなり、本作は幅10メートル超、高さ2メートルと、吉村の作品では最大級だ。…