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2023.01.06 05:00

【年初に 地方】諦めないいなか目指して

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 新年早々、テレビの討論番組でこんなやりとりがあった。
 「日本を立て直せるか」について若手パネリストが「×」と回答。若者に「諦めがはびこっている」と説明した。これに対し司会者が「だったらこの国から出て行け」。
 議論が過熱したがゆえの発言だったのだろうが、これがもし「地方を立て直せるか」だったら、どうだろうか。「出て行け」との捨てぜりふは論外だが、地方は住民が未来を諦めてしまえば持たない。
 昨年末、高知県が発表した本県の推計人口は67万4505人だった。40年前には83万人を超えていた県人口は2005年に80万人割れし、19年には70万人も割った。
 日本全体が人口減少に入った今、地方がこうした流れにあらがうのは難しいだろう。ただ、縮小するスピードを緩め、幸福度を高めることはできるはずだ。それが厳しい中での希望といってもよい。
 本県は若者の県外流出や人口の自然減が続く。高齢化率も高い。一方で、見方を変えれば、経験豊富な住民、熟練者は多いことになる。皆、地域の貴重な人材である。やれること、知恵を出せることがあるのではないか。
 それを考える上でも、今年は高知にとって重要な年になりそうだ。
 県内は今年、選挙イヤーである。知事選をはじめ、各地の首長選や議員選も相次いで行われる。誰に地域のリーダーを託すか、投票も大切な地域づくりである。
 政府は先月、地域活性化の新たな5カ年計画「デジタル田園都市国家構想総合戦略」をまとめた。東京圏の転入超過を27年度に解消し、人口の一極集中を是正する方針などを掲げている。
 地方に移住する人への支援金も大幅に拡充する方向で、地方移住がさらに注目を集めそうだ。移住者獲得の地方間競争も一層拍車がかかることが予想される。県内の自治体も、受け皿づくりや誘致にこれまで以上に力量が問われる。
 人口流出を減らし、移住者を受け入れるためには産業振興も欠かせない。浜田省司県知事は年頭の所感で「デジタル化、グリーン化、グローバル化といった時代のトレンドを先取りして県産業の基盤強化、構造転換を強力に進める」とした。
 地方の生活は何より、安心して穏やかに暮らせることが大切だ。地方暮らしの最大の魅力といっても過言ではない。
 そのためには新型コロナウイルス対策は引き続き重要になる。子育て支援の一層の充実が欠かせない。コロナ禍で疲弊した地方経済の立て直しも急がれる。南海トラフ地震対策など防災力の強化は当然である。
 もちろん、いずれも行政の力だけで完結するものではない。産学、地域住民との連携が鍵になる。
 人口が減っても諦めず、新たな希望を抱けるいなかでありたい。卯(う)年だからといって跳ねる年とまではいかないかもしれないが、確実な一歩になる新年にしたい。

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