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2021.11.13 08:00

【第6波対策】安心を提供する体制に

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 今冬にも想定される新型コロナウイルスの流行「第6波」に向け、政府が打ち出した対策の「全体像」は、飲み薬の確保や入院体制の強化を図るとする。
 それ自体は当然のことだ。国民が安心して暮らせるようにシステムを構築し、効率的に運用して事態の悪化を防ぐことが求められる。時間の制約がのしかかるが、着実に準備を整えていきたい。
 対策では、自宅で使える飲み薬160万人分を確保する。また入院患者は今夏のピーク時より3割増を受け入れられるようにする。国産の飲み薬の開発支援にも取り組むとする。
 ワクチン接種は国民の7割を超えた。現状では感染は下火となり、治療薬の効果もあって重症化する割合は下がっている。こうしたワクチンの抑制効果をにらみながら、感染力が第5波の倍となっても対応できる体制を構築していくという。
 外来や入院の受け入れ体制を整えることは極めて重要だ。第5波では、自宅療養者が13万人を超えた。感染拡大期に体制の拡充ができなかったため、自宅で亡くなる事例も起きている。こうしたことを繰り返してはならない。
 病床や設備の充実にとどまらず、治療する医師や看護師らの確保が必要で、足りなければ機能しなくなる。対策には、感染が拡大した場合は医療人材を広域的に派遣することも盛っている。円滑な運用に向けた準備が不可欠だ。
 自宅療養を迫られる場合もあるだろう。飲み薬の効果を期待したいが、医療側とのつながりをどう確保するのかも課題だ。家庭内での感染リスクや、親が感染した場合の子どもの保護なども想定した対策を整えないと安心は高まらない。
 ワクチンの3回目接種は12月に医療従事者から始まる。高齢者への接種は来年3月から本格化し、企業などの職場接種は来年3月をめどに開始する方向となった。開始当初は自治体へのワクチン配分や予約方法などで混乱が目立った。状況の変化もあり同じことが繰り返されるとは思えないが、検証を重ねて効率的な対応を進めるようにしたい。
 先に政府の対策分科会が策定した感染状況評価の新指標は、新規感染者数よりも医療の逼迫(ひっぱく)状況を重視する。これにより、先手を打って緊急事態宣言の発令や強い対策を講じられるようにすることを狙う。
 一方、行動制限の緩和案もとりざたされる。ワクチン接種済証などを活用し、宣言下でもイベントの定員は100%までの収容を認め、県をまたぐ旅行も自粛対象としないことなどが検討されているようだ。受け止めはさまざまだろう。日常生活や経済活動の本格再開へ向けた取り組みには安心の提供が基本となる。
 政府は第5波までに、後手に回る対応と説明不足を批判されてきた。コロナ対策と社会経済活動の両立を図るには、国民の理解と協力が欠かせない。それぞれの対策を効果的に行うことはもとより、政府の説明する姿勢が試される。

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