2021.05.30 08:35
ちいきのおと(22)土居町(高知市)100年超す老舗並び立つ
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まるでケーキ店のような「フェリル・ボア」。豆腐や大豆食品がきれいに並べられている(写真はいずれも高知市土居町)
豆腐の下田食品「えいもんを」
あられの玉屋「味を守って」
同じ通りで、ほんの数十メートル離れて、創業100年を超える二つの老舗が営業を続けている。一つは、1907年から続く豆腐の下田食品。もう一つは1890年に帯屋町で創業した、あられの玉屋。ここにしかない味で、人々を喜ばせ続けている。
白い外壁にアンティーク調の小物。アロマの香りも漂う。ケーキ店や雑貨店のような雰囲気だが、ショーケースに並ぶのは豆腐に厚揚げ、豆乳…。ここは下田食品の直売所「フェリル・ボア」だ。
同店の豆腐は学校給食や飲食店、旅館への卸が中心。スーパーなどでは売っていない。2014年に家業を継いだ4代目の下田知加さん(44)が「できたての豆腐を多くの人に食べてもらいたい」と、同年に工場の一角の事務所スペースを改装して始めた。
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ケースには木綿やおぼろといった定番商品に加え、バラやハート、クマをかたどった豆腐も。「ケーキやパンを専門店で買うように、『豆腐は豆腐店で買う』となってほしい」と話す。
豆腐を作るのは、下田さんの弟、泰功(やすのり)さん(42)。午前2時半には工場に入り、一晩水につけた大豆を釜で煮て豆乳を作る。にがりを加えて固め、ひしゃくで型箱に丁寧に置く。
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こだわりの豆腐を作る下田泰功さん
大豆の新しさや気候により、工程の時間を微調整。大豆本来の味わいを守るため、加熱処理をしないのも、昔からのこだわりだ。
「何代目とか関係ない。えいもんを作るには、伝統を気にしよってもいかん。自分なりに考えて、自分なりに変えてますよ」と泰功さん。今日もこだわりの豆腐が出来上がる。
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あられの「玉屋」は戦後に、現在の場所に移った。4代目の遠山君枝さん(72)が、夫の清さん(72)と2人で製造している。
板状にした餅を包丁でさいの目に切り、天日干し。それを炭火で2度いると、四角かった餅が丸くなる。仕上がるまで3日仕事だ。
干す時間、いる時間が長すぎても短すぎても、きれいな丸にはならないという。
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60年以上現役のいり機であられを作る玉屋
「干す時間は手の感触、いり具合も音の変化で判断する。子どもの頃から聞いてますからね」と君枝さん。そんな妻の指示でてきぱきと動く清さんは、60歳まで会社勤め。「10年以上やっても分からん」と苦笑する。
砂糖をまぶし、四万十のりとショウガで風味を付けた定番の「玉あられ」は、吉田茂元首相や宮尾登美子さんも愛した味。よもぎや、ラズベリー風味のものもある。今は高知大丸や西川屋老舗への卸が中心だという。
君枝さんは「気楽にやってます。ほそぼそと、できるところまで味を守っていきたい」。柔らかな声で語った。(報道部・大山泰志)
《自慢のイッピン》
九州・佐賀のB級グルメ「シシリアンライス」
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同市で50年ほど前に生まれたB級グルメ。ご飯の上にサラダと甘辛く炒めた肉を載せマヨネーズをかけた料理で、「結婚で佐賀に行った長男に教わって」(店主の木下清子さん)提供を始めた。
「まだ実物は食べたことがない」と笑う木下さんだが、高知産のしゃきしゃき野菜と豚肉を使い、オーロラソースとマヨネーズで仕上げた。さっぱりした味で、これ目当てに来店する客も少なくない。午前7時~午後3時(土曜は同2時まで)。日曜定休。
《あの日あの時》
(1961年)風物詩のアオノリ採り
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「たこ糸を張って、アオノリをきれいに広げよった光景を覚えちゅう」と近くの70代女性。今も鏡川で釣りを楽しむ男性(73)は「小学生の頃は、天神橋から雑喉場橋の辺りで採れよった」と振り返る。
「囲いの中でウナギを育てる人、川エビを採る人…。川をなりわいにする人がようけおったねえ」と男性。そうした人々は姿を消したが、鏡川は今も、さまざまな川の幸を与えてくれている。
《ちょっとチャット》
和食一心さん(15)高知高1年
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