2024年 04月19日(金)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

高知新聞PLUSの活用法

2021.09.20 08:33

〈はつらつ人生〉アユ漁60年、今も川へ 90歳、香南市・寺村さん「よっ」と網

SHARE

「取れたらうれしゅうて。くせになる」と笑う寺村幸雄さん(香南市野市町深渕)

「取れたらうれしゅうて。くせになる」と笑う寺村幸雄さん(香南市野市町深渕)

 「ちいと掛かりゆうかえ?」「最近(釣りに)来んなったねえ」。常連客と世間話に花を咲かせるのは、香美市土佐山田町の物部川漁協でおとりアユを販売する寺村幸雄さん(90)=香南市野市町深渕。自身も投網を打ち続けて60年近くの大ベテランで「アユ漁は生きがい」と、今なお川に舟を出す。
 
 物部川で育ち、幼い頃から川遊びや釣りに親しんだ。「川の上から稚魚がぎょうさん見えよった」と懐かしみつつ「ダムができて水の濁りが取れんなって、数はだいぶ減ったねえ」。そう話す口ぶりには、一抹の寂しさがにじむ。

 農業で生計を立てていた30代の頃、農閑期に始めたアユ漁は今でも現役。最近は「こけたら危ない」と知人が船頭をしてくれるようになったが「1人で行きたいけんど…」と、ちょっぴり口をとがらせる。

 とはいえ、熟練の網さばきはまだまだ健在。体をひねって「よっ」と網を放ち、バサァッと大輪を広げる。「頭じゃのうて、体が勝手に覚えちゅうがよ。たまらんばあ好きやき」と目を輝かせ、声を弾ませた。

 釣り人仲間からは「物部川の生き字引」と慕われる寺村さん。同漁協の松浦秀俊組合長(65)も「川のことをよく知っていてアドバイスをくれる大先輩。マナーが悪い釣り人には、厳しく注意もしてくれる。ありがたい存在です」と話す。

 「天気が良うて、えい風が吹きよったら漁に行きとうてたまらんなる。中毒みたいなもんよ。ハッハッハッ」と寺村さん。まぶしい笑顔はきっと、子どもの頃のままだ。(小笠原舞香)

   ◇

 人のため、地域のためにお世話したり、自分の楽しみに没頭したり。高知県内のシルバー世代は、はつらつと人生を満喫中。人生100年時代、これからもお達者で―。

高知のニュース 香南市 高知の釣り ひと・人物 高齢者

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月