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2021.09.12 08:39

レトロな薬屋で和紙発信 移住夫妻が作品ショップ イヤリングにポストカード、猫や犬をかたどったランプも―ちいきのおと(37)6区(越知町)

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旧大川薬舗で和紙作品の店を営む斉藤与志彰さん、竹山美紀さん夫妻(写真はいずれも越知町越知甲)

旧大川薬舗で和紙作品の店を営む斉藤与志彰さん、竹山美紀さん夫妻(写真はいずれも越知町越知甲)


「もっと身近な存在に」

 昭和の香り漂う高岡郡越知町越知甲の商店街。その一角、6区にある旧薬局の建物で8月、土佐和紙を生かしたアクセサリーやインテリアの販売・展示ショップ「和紙おりおり」がプレオープンした。営むのは、和紙の魅力を発信する移住者の作家夫妻。「和紙の可能性を知ってもらい、もっと身近な存在になってもらいたい」と張り切っている。
 
 東西約900メートルある商店街の真ん中あたりに立つ「旧大川薬舗」。趣ある古民家で、引き戸を開けると、木枠のショーケースと小さな引き出しがたくさんある薬棚が目に入る。「鎮痛剤」「パブロン」といった棚の張り紙もそのまま残され、レトロな雰囲気を醸し出す。

 竹山さんが手掛けた愛らしいイヤリングやポストカード
 その店内を今、高知市出身の斉藤与志彰さん(36)、東京都出身の竹山美紀さん(33)夫妻の作品が彩る。和紙で猫や犬をかたどったランプが優しい明かりをともし、愛らしいイヤリングやポストカードなど約200点が並ぶ。いずれも創意にあふれた作品ばかりで、見飽きることがない。

 ◇ 

斉藤さんが作る和紙のランプ。優しく明かりをともす

斉藤さんが作る和紙のランプ。優しく明かりをともす

 斉藤さんは松山市の専門学校でデザインを学び、東京で就職後帰郷。造形作家として活動を始め、4年ほど前から動物の形をした和紙ランプを制作し、ネットで販売している。

 竹山さんは東京芸術大学在学中から、和紙でちぎり絵の技法を用いた絵画などを制作。卒業後の2018年6~9月に吾川郡いの町で活動し、紙の博物館で作品展も開いた。

 作品展に訪れた斉藤さんと竹山さんは、和紙で創作する者同士で意気投合。昨年1月、斉藤さんの母方の実家があった越知町に2人で移住した。

 商店街でチャレンジショップを開いた竹山さん。昨秋、和紙アクセサリー作りのワークショップを開催した旧大川薬舗の建物に「一目ぼれ」した。チャレンジショップでの1年を終え、旧薬舗を新たな拠点に「和紙おりおり」を営むことを決めた。

 ◇ 

 大川薬舗は、佐川町出身の大川豊繁氏が1919年に開業。木造2階建ての店舗兼住宅は32年に建てられた。3代目の勝さん(71)=佐川町甲=は「祖父がこだわって建てたものやき」と、ほとんど改装せず営業を続けてきたが、ドラッグストアの進出などで2008年12月に閉店した。

 一時は取り壊しも検討したが「もったいないって周りから言われてね」。以降、春先の仁淀川ひな回廊といったイベント時に活用されてきた。新たな店主を迎え、勝さんは「愛着ある建物やき、若い人に使ってもらうのはうれしい。ずっと残ってほしい」と喜ぶ。

 和紙おりおりの本格オープンは来春の予定。販売する作品をさらに増やし、和紙を使ったワークショップなども計画する。9月の営業は土日のみで午後1~5時。写真共有アプリ「インスタグラム」で情報を発信している。(佐川支局・楠瀬健太)


《自慢のイッピン》
特産品でピリ辛に「山椒入りからあげ
  
 口に運ぶと爽やかな香りが広がり、ピリリとしびれる辛さが舌を刺激する。商店街にある昔ながらの定食屋さん「仙八」の1番人気は、越知特産のサンショウを利かせた唐揚げだ。

 35年ほど前から店を営む立仙俊彦さん(73)、さとのさん(71)夫妻が、秘伝の焼き肉のたれにサンショウを入れて鶏肉に絡ませ、揚げた一品。町の地域おこし協力隊員の提案で2年ほど前に始めたところ、今やこれを目当てに町外から訪れる客もいるのだとか。

 さとのさんは「地元のサンショウを使ったものを出せてうれしい。皆さんに喜んでもらってます」。「山椒入りからあげ定食」は980円(税込み)。店は午前11時~午後7時、日曜休み。

《あの日あの時》1984年
商店街に新春の活気
  
 1984(昭和59)年1月5日に撮影された6区の商店街。色とりどりの万国旗や「福引付大売出し」の横断幕がはためき、多くの車や人が行き交う。新春のにぎやかさが伝わってくるかのようだ。

 2010年に町商工会が50周年記念に発行した商店街の写真集で、表紙を飾った1枚。編集した6区の横川呉服店4代目、横川満久さん(76)は「商店街が元気なときをよう表しちゅう。えい写真やと思ってね」と選んだ理由を語る。

 「商店街を人が“ざあざあ”歩きよった。昭和の終わりごろまでは、年末年始の人出はすごかったねえ」と横川さん。平成に入った頃から雰囲気が変わり、空き店舗も増えたが、老舗店主は前を向いた。「越知は昔から商売の街。まだまだこれから踏ん張っていきたい」


《ちょっとチャット》
小田悠乃(ゆのん)さん(7)越知小2年
 家は商店街で「こだや」っていう食料品店をやっています。自然がいっぱいで人が優しいのが越知のいいところ。学校帰りには、知らん人でも「おかえりー」って手を振ってくれます。町でやってるコスモスまつりに家が屋台を出してて、毎年行きゆう。迷路で遊んだり、コスモスカーに乗ったりするのが大好き!


   越知町史続編によると、旧越知村(現在の越知甲・乙・丙・丁、野老山)が1896年、区長制を導入して村を7区に分割。その後細分化され、現在18区まである。6区は越知甲の一部で町の中心部。商店街には衣料品店やパン屋、靴店などが並ぶ。8月末現在、176世帯358人。

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