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2021.08.30 08:35

明治政府転覆へ暗躍 堀内誠之進(四万十町出身)の軌跡たどる 30年超研究の早稲田大・遠矢教授が刊行

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 明治維新直後の政府転覆計画で暗躍した高岡郡四万十町出身の志士、堀内誠之進の軌跡をたどる「明治維新 勝者のなかの敗者 堀内誠之進と明治初年の尊攘派」が、このほど刊行された。著者は早稲田大学政治経済学術院教授の遠矢浩規さん(58)。歴史上あまり知られていない堀内を「尊王攘夷派のもう一つの正義を貫いた人物」ととらえ、新たな光を当てている。

 堀内は1842年、旧柿木山村(現同町仁井田)生まれ。明治新政府に異をとなえた1870(明治3)年の奇兵隊反乱、翌年の二卿事件に加わり、西南戦争では土佐人としてただ一人、西郷隆盛の陣営で戦った。その後、政府転覆計画の首謀者として収監され、80年10月に大津市の獄中で病死した。

 遠矢さんは堀内を「関わった事件の幅広さで類を見ない」と重視。30年以上にわたって研究し、高知県にも度々訪れて家系や史料を調べた。

 著書では堀内の生い立ちや、度重なる政府転覆計画との関わりなどを、大久保利通、木戸孝允らを登場させながら詳述。土佐での潜伏逃亡や、投獄先の大津市で病死するまでの足取りも丹念に追っている。

 堀内本人が書いた史料はほとんどなく「他の史料から判明した足跡をつぶさにつなげた」(遠矢さん)という労作。2019年に堀内の墓を大津市で発見するなど調査に協力した同町のガイド組織「四万十あちこちたんね隊」の池田十三生さん(78)は「堀内は旧窪川町史にも記述が少ない。町の歴史的人物を掘り起こせてうれしい」と話している。

 四六判387ページ、税込み2750円。山川出版社刊。(小林司)

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