2021.06.05 08:38
高知県警の警察犬「フィン」お手柄 土佐市の不明男性を無事発見
高知県警鑑識課の近藤真帆巡査部長(25)と、シェパードのフィン(5歳・雄)。
徳島市出身で、動物と一緒に働く仕事に興味があったという近藤さん。警察犬の担当者を目指したが、徳島県警には直轄犬がいなかった。そこで高校卒業後、直轄犬を育てている高知県警に入り、昨年1月に念願の警察犬担当となった。
近藤さんは少しずつフィンとの信頼関係を築き、半年後から臭気選別など本格的な訓練を開始。昨年11月に現場へ出始めたが、「臭いを感じたフィンの反応を訓練の時のように見つけられないこともあった」という。
訓練でフィンの反応をより注意深く観察したほか、出動するたびに担当署に問い合わせ、自分たちがたどったルートが正しかったかどうかの確認を繰り返す日々が続いた。
4月21日。土佐署から行方不明者の捜索要請が入った。家に残された服やタオルから男性の臭いをフィンに覚えさせ、目撃情報があった地点から捜索を始めると、「フィンがどんどん進み、これまでと反応が違った」。
普段は人が通らない住宅とフェンスの間をのぞき込み、奥まった場所で座り込む男性を発見。同署は「人では見つけにくい場所。警察犬でなければ難しかった」と振り返った。
県内では高齢者の行方不明事案が増え、警察犬の出動回数は過去5年で3倍(2020年=96件)に。防犯カメラやDNA鑑定など技術は進むが、鑑識課は「嗅覚などを生かして犬にしかできないことがある」と話す。
県警は6月4日、フィンと近藤さんを表彰。近藤さんは「訓練の成果が出せた。役に立てて良かった」とほっとした表情を見せ、「大事な相棒」というフィンにほほ笑みかけた。(山崎友裕)