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2021.05.31 08:41

沿岸カツオの価格暴落、豊漁なのに…新型コロナ下で需要低迷 高知県内の漁師「大漁貧乏や」

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カツオの価格が低迷している魚市場。うれしい豊漁のはずが…(中土佐町久礼)


 カツオ豊漁に沸く今春の土佐湾で、5月中旬から供給過剰により市場価格が1キロ100円以下にまで暴落する皮肉な事態が起きている。新型コロナウイルス下での需要低迷も値崩れに追い打ちを掛け、「釣っても売り先がない」と出漁を見合わせる一本釣り漁船も。スーパーにお買い得な刺し身が並び、消費者にはうれしい半面、水産関係者は複雑な心境だ。

 カツオの沿岸漁業は主に、10トン台の小型船が日帰りで操業。今春の土佐湾周辺のカツオは脂が乗り、仲買人らから「当たり年」との声が聞こえていた。スーパーの担当者も「安い地元産が確保でき、よく売れる」と喜ぶ。

 高知県水産試験場によると、県内主要市場へのカツオ水揚げ量は、3月が前年同月の5・3倍に当たる約230トン、4月は11・6倍の約266トンという豊漁に。このため取引価格は安く推移し、特に過剰供給が鮮明となった5月の大型連休後は、最低価格が「1キロ当たり数十円」となる大暴落が起きた。

 沿岸一本釣り拠点の一つ、高岡郡中土佐町久礼では、近年の5月の平均単価は1キロ400~500円台で推移してきた。ところが、今年の5月12日以降は100~200円台が続き、20日には100円を切った。

 高知市弘化台の卸売会社「土佐魚類」の森国一・鮮魚部長によると、現在は愛媛や和歌山、九州方面のカツオも供給過剰だという。「コロナのせいで全国的に消費が動かん。100円を切るなんて、でたらめな相場。豊漁なのにもったいない話ですよ」

 四万十市で鮮魚店を営み、飲食店に魚を届けている山崎敦嗣さん(60)も、大型連休以降に需要が急激にしぼんだとする。「宗田節にするメジカより、刺し身になるカツオの仕入れ値が安い。なのにコロナの影響で客が来ないから、店はカツオを仕入れられない」。売り先のないカツオはたたきに加工して冷凍保存しているが、「出口が見えん」と不安げだ。

 久礼漁協に所属する一本釣り船「第18八廣丸」の杉本圭司漁労長(40)によると、今春は土佐沖の集魚用ブイにカツオの大群がとどまっているという。

 「短時間で船いっぱい釣れるのはありがたいけど、値段を見てがっくり。かなりの量を釣っても利益が出ん。〝大漁貧乏〟や」

漁に出ず、港につながれた漁船


 久礼漁協と所属する一本釣り船4隻は対応を協議し、22、25、29の各日は臨時休漁とした。さらに出漁日の水揚げ量も1隻2トン以内に制限している。

 港には、漁に出ずつながれた漁船が並ぶ。早朝の入札に参加していたベテラン仲買人は「魚が釣れゆうに漁師が休むらあて、ありえん。こんなことは初めてや」と寂しげな表情を見せた。(八田大輔)

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