2021.05.11 08:40
室戸の大敷に女性漁師2人目誕生 大阪出身20歳「早く一人前に」
幼い頃からペンギンが好きだった今井さん。高校生の時に水族館で働く夢を抱き、専門学校を経て、飼育員として水族館に勤め始めた。
転機は昨年7月。むろと廃校水族館(室戸市室戸岬町)での研修に参加し、早朝の定置網漁を見学した。そこで目にしたのが、昨年4月に三津大敷組合に採用された女性漁師、岩田梅佳さん(21)の奮闘ぶりだった。
「小柄な女性が魚をポンポン飛ばしている姿が、とにかくかっこよくて…。女性も働けるんだって、衝撃を受けました」
大阪では実家の猫と遊び、友達と買い物を楽しむ、ごく普通の女の子だった今井さん。網の修繕、ロープ結びなどの漁師仕事は慣れないことばかりで、船酔いにも苦しめられた。「陸でも海でもあたふたしていて…。失敗と反省ばかり」と頭をかく。
だが、指導役の細川裕介さん(56)は「覚えが早いし、何より熱心。網の修理も家で練習してきている」と目を細める。小笠原憲一社長も「研修に打ち込む姿を見て、絶対に雇わなければいけないと思った。習熟のスピードは僕よりも優秀」と期待を寄せる。
室戸に来て1カ月。「先輩たちのように、てきぱきと仕事ができるよう頑張りたい」。温かい先輩漁師に支えられ、小さな背中は少しずつ成長を続けている。(板垣篤志)