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〈新型コロナ 声…高知から〉面会制限…父、一人で逝く

(2020.03.30 08:35)

高知県内でも医療機関の多くが面会制限を設けている。制限の度合いは病院によって対応が分かれる(高知市内)
見えない終息 患者家族不安増す
 新型コロナウイルス感染防止のため、病院が面会制限の措置をとり、高知県内で「親の死に目に間に合わなかった」という事態が起きている。「自分と同じような思いをする人が今後増えるのでは」と県内の男性が高知新聞に声を寄せた。感染が広がり終息が見えない中、患者家族の不安は増している。

黒潮町の山本さん心残り 容体急変で間に合わず
 「父の顔を見ることなく、言葉を交わすことなく、一人で逝かせてしまった…」

 取材当日の1週間前に父を亡くした山本勝也さん(61)=幡多郡黒潮町。父の茂さんは3月15日早朝に息を引き取った。享年93。定期検診で心不全が分かり、昨年12月から入院していた。療養中に腰椎骨折が分かったが茂さんはリハビリに意欲的でつえをつき、自力で歩くこともできた。

 2月中旬、コロナウイルス感染拡大を受け、病院は危急の場合を除いて面会禁止となった。基礎疾患がある人や高齢者はコロナ感染の重症化リスクが高いと知り、「仕方ない。後で何回でも会える」と考えた。

 だが、会えずに過ごしていた約3週間後、病院から「危篤状態」との連絡が届いた。元気だったはずの茂さんの容体が急変した。連絡を受けて慌てて駆け付けたが、間に合わなかった。着いた時は息を引き取った後。体にぬくもりがあった。

 葬儀の日は退院予定日だった。認知症がある母親は1年前から介護施設にいる。施設も面会禁止となり、「おやじが死んだことを伝えていない。母親も一人で逝かすことになるんじゃないか」。勝也さんの不安は消えない。

 病院で最後に会った時の茂さんの動画がある。ミカンをほおばり、「食いよかね」と勝也さんが声をかけると、笑顔を見せた。

 若い頃はアジやサバの干物の行商をしていた。90歳を過ぎてもリヤカーを押して畑に出た。「足腰が強い。100歳まで生きるね」。勝也さんは妻とよくそう語り合っていた。

 葬儀の次の日、茂さんの位牌(いはい)の前で線香を上げると、天井の電球がチカチカした。

 「おやじ、すまん。見捨てられたと思わんとって。会いたかったけんど、コロナで行けらった(行けなかった)」

 電球は呼び掛けに応じるように点滅した。家族を心配させまいと茂さんが応えてくれたのだと、勝也さんはそう信じている。


県内病院の面会制限 家族の苦悩は行き場なく
 高知新聞の3月19日朝刊は、県内の医療機関が面会制限を設けたことで「母の認知症状が進むのでは」と苦悩する患者家族の声をお伝えした。記事は反響を集め、高知新聞「新型コロナ ご意見窓口」LINE(ライン)公式アカウントには、面会制限で家族に会えないという切実な声や意見が20通余り寄せられた。一方で病院側や医師の間では、厳格な面会制限の必要性を訴える声も強い。患者家族らの戸惑いや悩みは、行き場なくさまよっている。

余命わずかの夫 高知市の73歳女性
 主人が末期のがんで入退院を繰り返し、緩和ケアの段階です。3月に容体が急変し、家で面倒をみることができず、今の病院へ。現在75歳。余命は夏まで持たないと言われました。入院した次の日に面会制限がかかりました。本人も家族に会いたがっていますが、規則といってなかなか会わせてくれません。

 このままお別れになるかと思うと気が気でありません。緩和病棟に行けば自由に会えるそうですが満床です。家には98歳の父がいて私一人で面倒をみるのは限界。恨むなら病院ではなく、コロナですが…。このままだと一人で逝かせてしまうことになります。

マッサージできず 高知市の36歳女性
 母は昨春、60歳で、くも膜下出血で倒れ、今も意識の回復なく寝たきりです。病院へ毎日通ってはマッサージし、小さな変化に一喜一憂してきました。

 会話できず、写真も見ることのできない母にとって体を触ってあげることが一番の刺激に。進行を遅らせてあげたいとの思いで仕事も辞めて、介護に専念していました。

 ところが2月終わりに病院は短時間の面会のみに。マッサージは濃厚接触になるとの判断で止められてます。高齢者や基礎疾患のある人の感染リスクは大きく、母が感染したら命に関わるため、病院の対応は分かります。面会規則を緩和することへのリスクも感じ、てんびんにかけるような思いです。

 母へのケアを事細かく要望するのも気が引け、家族だからできる関わりも遮断され、苦しいです。

  ◇  

何らかアイデアを 東京都の38歳女性
 73歳の母が腹膜炎を起こして兵庫県の病院に入院。少々の痛みにも家族が付き添い、面会に来てくれるから頑張れると踏ん張っていた母ですが、3月25日よりコロナの影響で面会全面禁止とのこと。果たして一人で過ごす入院生活に活力を見いだすことができるでしょうか? いつまでかも分からない期間、面会禁止と言われても家族の戸惑いは隠せません。

 感染拡大の危険は承知しています。その対策はしなければいけません。しかし一律面会禁止というアイデアのない策ではなく、偶数部屋と奇数部屋を1日おきに面会可能にする方法や、曜日指定などの策を取ってほしいと思います。母のことが本当に気がかりです。(ネットで高知新聞記事を読み、LINEで高知新聞に送信) 

医師「命守ること第一」
 不特定多数が入院病棟に入れば感染拡大のリスクは増す―。医療機関の対応は各施設や医師によって判断が分かれるが、基本的には面会制限の必要を訴え、広く理解を求める声が聞かれる。

 高知市の民間病院の医師は「個室なら感染予防対策の上で100%禁止しなくてもと個人的には思う。許可の基準は医師や病棟ごとにバラバラで、(どう対応するか)判断が難しい面がある」と語る。

 クラスター(感染者集団)の発生はどこの病院でも起こりうるため、基本的には高知県内も含め、どの医療機関も面会制限は絶対に必要と考えているようだ。院内で感染者が出れば外来は閉鎖、職員が自宅待機となり、手術や検査などが一切できなくなるからだ。

 感染者が急増した関西で働く高知市出身の医師は「高知と関西で温度差があるかもしれない。だが申し訳ないが『親の認知症状が進む』と言っている段階ではない」と面会制限の厳格化を訴える。

 「インフルエンザと異なり、症状が出なくてもウイルスを持った面会者がいる可能性がある。命を守ることが大事。厳しい対応でも感染者を出さない方が最高の形」とする。

 高知県によると2月末以降、多くの医療機関や介護施設が「感染経路の遮断」を目的に面会制限を決めた。複数の病院に聞くと、対応は病院ごとに分かれる。危急の場合以外は全面的に面会禁止とする病院もあれば、「家族の面会のみ、感染対策をした上で許可」という所や、緩和ケア病棟などの余命わずかの患者には面会を許可している所もある。(村瀬佐保)

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