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【米国の核増強】軍拡競争をあおっている

(2020.02.23 08:00)

 トランプ米政権が核兵器の増強を着実に進めている。
 「使える核兵器」と称される小型核弾頭を搭載した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を、初めて実戦配備した。2021会計年度(20年10月~21年9月)予算で、核兵器関連の大幅な増額も求めている。
 小型であれ何であれ、核兵器を使うことなど断じてあってはならない。核大国が率先して核軍拡をあおる取り組みはやめるべきだ。
 現行の核弾頭の爆発規模は約100キロトンだが、低出力の小型核弾頭は5~7キロトン。広島に投下された原爆の16キロトン、長崎の21キロトンと比べても爆発規模は小さい。
 潜水艦のミサイルに搭載するのは、爆撃機よりも秘密裏に対象に近づき素早く攻撃できるためだ。実戦配備されたとみられる潜水艦は、大西洋を作戦海域とする。今後、他の海域を航行する潜水艦に配備が拡大されるとの見方もある。
 実戦配備が進めば敵の施設への局地攻撃など、核使用のハードルが大きく低下しかねない。核の先制使用に道を開くことが懸念される。攻撃された側が小型核かどうか識別するのは困難で、過剰な報復を招く恐れもあるだろう。
 米側は、自国への大規模な攻撃を思いとどまらせる抑止効果を強調している。しかし、実際には新たな危機を生み出すだけだろう。
 ロシアは米国のミサイル防衛網を無力化しようと、極超音速の新型核を開発している。中国もSLBMの配備を進めるなど、核抑止力の増強に余念がない。
 こうした情勢を背景に世界の軍事費は急伸している。英国の「国際戦略研究所」によると、19年は前年比4%増の約190兆円で過去10年で最高の伸びとなった。全体を押し上げているのは米国と中国だが、首位の米国は2位中国の4倍近い。
 米国はさらに21会計年度で核兵器開発の関連予算として、前年度比20%増の5兆円超を充てる。核兵器の役割を低減させ「核なき世界」を目指したオバマ前政権に逆行する流れが、一段と強まっていることに憂慮を禁じ得ない。
 米国とロシアが締結していた「中距離核戦力(INF)廃棄条約」は、米側の破棄通告を機に昨年失効した。米ロが核兵器の配備数を制限する新戦略兵器削減条約(新START)は21年が期限だ。条約の延長が望まれるが、トランプ氏は中国が対象外なのが不満で交渉の行く末は見通せない。
 米国の核増強は中ロの核戦力に対応する側面があるにせよ、絶対悪である核兵器のこれ以上の開発や配備は許されるものではない。米国がやるべきなのは、ロシアや中国との緊張緩和を探り、莫大(ばくだい)な経費がかかる核軍拡競争をやめることだ。
 日本はトランプ政権の核戦略について、抑止力が強化されるとして歓迎している。唯一の戦争被爆国の立場と矛盾しよう。核軍縮へかじを切るよう説得するべきだ。

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