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【検事長定年延長】「法治」の根幹が揺らぐ

(2020.02.22 08:00)

 安倍政権の下で民主主義だけではなく、法治国家の根幹まで揺らいでいると危惧せざるを得ない。
 政府が東京高検の黒川弘務検事長が63歳になる直前、定年の半年間延長を閣議決定した問題は、安倍政権による国会や法の軽視が疑われる事態になっている。
 検察庁法は検察官の定年を検事総長は65歳、それ以外は63歳としている。延長は規定していない。このため政府は、国家公務員法の規定に基づき黒川氏の定年を延長した。
 ところが、国家公務員法改正案が国会で審議された1981年、人事院が「検察官には国家公務員法上の定年制は適用されない」と答弁していたことが国会で明らかになった。
 40年近く続いてきた政府見解と矛盾し、法律に違反して、できないことを無理にやった可能性が出てきたことになる。
 これに対し、安倍晋三首相は「検察官の勤務(定年)延長に国家公務員法の規定が適用されると解釈することとした」と答弁。つまり、法解釈を変更したことを明言した。
 安倍政権は2014年、憲法解釈を変更し、歴代政権が禁じてきた集団的自衛権行使を限定的に容認したことは記憶に新しい。
 立法過程などで政府が国会に説明してきた法解釈を、時の内閣の一存で都合よく変更する行為は法治国家として許されるのか。あらためて疑問が膨らむ。
 立法府が議論した上で決めた法律も、運用は権力の意向次第になる危うさをはらむ。法解釈を変えるのであれば、少なくとも国会で法改正を議論するのが筋である。
 安倍首相の答弁との整合性を図るためか、国会答弁の修正に追い込まれている官僚組織の姿にも1強政治の異様さがにじむ。
 人事院の給与局長は、首相答弁以前は国家公務員法に関する政府見解を「現在まで議論はなく、同じ解釈を引き継いでいる」としていた。
 首相答弁後は一転し、「つい言い間違えた」「『現在』との言葉の使い方が不正確だった。撤回する」と苦しい釈明に追われている。
 黒川氏は法務省勤務が長く、屈指の政策通とされ、安倍官邸との親密さは際立つとされる。
 だが、森友学園問題を巡る国有地の巨額値引きや財務省の決裁文書改ざんなど一連の疑惑で、検察は森友の前理事長夫妻のみを逮捕。財務省側は全員不起訴とし、「国策捜査」との批判を浴びている状況だ。
 黒川氏が定年延長で検察トップの検事総長に就けば、「政権へ忖度(そんたく)した捜査が強まるのでは」とする識者の見方もある。
 不偏不党を旨とする検察に対する首相官邸の介入ともとれる事態に、検察内部や与党内からも「検察への信頼が損なわれる」と危惧する声が上がっている。
 安倍政権は法的にも疑義が残る今回の閣議決定は撤回すべきである。政権が無理を通せば懸念は現実になろう。

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