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【クルーズ船感染】情報収集を検証に生かせ

(2020.02.21 08:00)

 新型コロナウイルスによる肺炎の集団感染が起きた大型クルーズ船で、心配されていた事態が現実になった。
 乗客の80代の日本人男女2人が、搬送先の医療機関で亡くなった。クルーズ船の乗客で死亡が確認されたのは初めてだ。国内の死者は計3人となった。
 クルーズ船には乗客乗員約3700人が乗船しており、2週間の健康観察期間が過ぎた19日から、ウイルス検査で陰性の乗客らは下船を始めている。死亡した日本人の男女は、その前に下船し、入院していたようだ。
 このクルーズ船の集団感染への対応を巡っては、開会中の国会や医療の専門家らの間で、さまざまな議論が起きている。
 クルーズ船には50を超える国や地域から、多国籍の乗員乗客が乗船。大型船で新型の感染症が広がるケースは世界でも例がなく、日本政府の対応を各国が注視している。
 一つは全員をウイルス検査する検疫の在り方だ。クルーズ船が横浜港に停泊した3日、政府は体調が良好な乗客らの下船を認める方向だった。その直後の検査結果で陽性が確認されると方針を変えた。
 5日には乗客の客室待機が始まった。だがその日以降も、感染者は続出。国立感染症研究所は19日、乗客の感染者の多くは客室待機前に感染し、待機以降も続いていたとの分析結果を発表した。
 感染は船内で行われたイベントなどを通じて広がったとみられる。乗客を隔離したとしても、政府の対応は後手に回った疑いがある。
 感染研によると、10日以降は乗員の発症が増加。乗客へのサービス提供など船の維持に必要な業務を続け、隔離が不十分だった疑いがある。政府は隔離は有効だったとの立場を変えていないが、より詳細な分析が必要だろう。
 そもそも閉ざされた空間で乗客同士の接触も多い客船の構造は、感染拡大のリスクが高い。そんな空間に乗客全員を長期間留め置いた政府の方針に、水際阻止にこだわり過ぎた面はなかったか。
 船の構造上、感染症の早期発見と拡大防止にはウイルスの検査態勢を充実させるしかあるまい。集団感染が疑われる大型船への対処方法は前例がないだけに、日本が世界各国に発する教訓となり得る。
 ほかにも感染ルートを特定する難しさなど、新型ウイルス対応の課題は多い。自治体によってまちまちの情報公開の在り方もその一つだろう。いずれにせよ、より正確で詳しい検証にたえる情報を集め、できる限り公開することだ。
 陰性の乗客らの下船が始まるまでの感染者は600人を超え、ついに死者まで出た今回の異常事態。海外のメディアは政府のやり方を厳しく批判している。政府はこれまでの方針に問題はないと強調するが、国内外の批判に謙虚に耳を傾ける柔軟さが必要ではないか。

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