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【新型肺炎と改憲】見識疑う不安への便乗

(2020.02.11 08:00)

 新型肺炎への国民の不安に便乗するかのような、見識を疑う発言である。与野党や憲法学者から「悪乗り」「アンフェア」といった批判が出ているのも当然だろう。
 肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、憲法改正による緊急事態条項創設の機運を高めようとする自民党国会議員らの発言が相次いでいる。
 自民党改憲案の緊急事態条項は、大規模災害時に内閣が法律と同じ効力を持つ政令を制定できるという内容だ。政府の権限が強化され、移動の自由など国民の私権制限につながるとされる。
 伊吹文明元衆院議長は党会合で、「公益を守るために個人の権限をどう制限するか。憲法改正の実験台と考えた方がいい」と主張した。他の自民党幹部や日本維新の会の議員も議論の活性化を求めている。
 国内外の人の命を脅かしている感染症を改憲の「実験台」と言う感覚は正常なのかどうか。
 また、改憲しなければ対策が打てないという意味であれば、これまでの政府対応が万全なのか徹底検証する方が先だろう。
 政府は今月1日、新型肺炎を感染症法上の指定感染症とする政令を施行した。患者の強制的な入院や就業制限などが可能になっている。
 空港や港で感染が疑われる人に検査や診察を指示できる検疫感染症にも指定。既に入管難民法に基づく入国拒否の措置もとっている。ただ、広がる感染に対策は後手に回ったと指摘されている。
 まずは法の運用を検証して、不備があれば現行法の問題点を洗い出し、必要な改正をするのが筋だろう。一足飛びに改憲に結びつける姿勢には、自民党内や連立与党の公明党からも異論が出ている。
 そもそも緊急事態条項は、人権規定を停止させることもでき、国の統治システムを根本から揺さぶる「劇薬」ともいわれる。
 自民党が2018年にまとめた改憲条文案は、緊急事態を「大地震その他の異常かつ大規模な災害」に限定。国会の法律制定を「待ついとまがない」場合、政府が政令を制定できるとしている。
 国会の事後承認が必要とはいえ、内閣に立法機能が与えられることになる。大災害の基準なども不明確なまま、国権の最高機関である国会が政府を全く統制できなくなる危うさをはらむ。三権分立の崩壊にもつながりかねない内容だ。
 どさくさに紛れて感染症対策にも広げようという一連の発言は、なお広い範囲で権力を立憲主義の縛りから解き放ち、過度の人権制約につなげていこうという思惑があると疑われても仕方があるまい。
 新型肺炎と改憲論議は本来、何ら関係がない課題である。
 政権与党は山積する当面のウイルス対策に全力を尽くさなければならない。また改憲論議を活性化したいのであれば、与野党合意で議論できる土俵を堂々と整えるべきである。

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