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【津波の確率予測】「まず高台へ」は同じだ

(2020.02.01 08:00)


 政府の地震調査委員会が、数百年ごとに起きると考えられるマグニチュード(M)8~9クラスの南海トラフ地震による津波の高さや確率を発表した。
 津波の危険性を確率で予測したのは初めてだ。東北―九州沿岸の市区町村のうち約2割が「30年以内に26%以上」の確率で高さ3メートル以上の津波に見舞われるとした。
 「26%以上」は「非常に高い」確率という位置づけだ。高知県は全国で唯一、沿岸全域(19市町村21区域)が「26%以上」となった。
 また、5メートル以上の津波が「26%以上」とされたのも室戸市や高知市、黒潮町、四万十市など14市町村に上った。全国でも深刻な状況だ。
 その一方で、発表された津波の高さや確率などで混乱する県民が少なくないかもしれない。
 というのも、東日本大震災後の2012年、政府は想定最大級のM9・1地震による各地の津波の高さを発表した。黒潮町が国内最大34・4メートルとされ、県内の沿岸部は広いエリアで20メートルを超す津波の予測が示された。その想定に基づいて自治体や県は津波対策などを行っている。
 今回の発表は宝永地震(1707年、M8・6)など、比較的近い年代で起きた地震による初めての予測だ。同調査委によると、「起こりやすそうな津波」への対策を自治体や住民に促す狙いがあるという。
 意図は分かるが、数値が独り歩きしないか心配だ。ひょっとしたら、「以前の予想より津波が低くなった」と油断してしまう住民がいるかもしれない。住民が油断したり、不安を抱いたりしないよう、データの意味を調査委として丁寧に説明する必要がある。
 気象庁によると、津波が20センチほどになると人が流れに巻き込まれたり、小型船舶が転覆したりする。3メートルを超えると、人はむろんのこと木造家屋が全壊・流失するなど被害は拡大する。
 県内沿岸部の全域が「3メートル以上」ということは、住民それぞれが「揺れたらまず高台へ」を改めて再確認する必要がある。今回の予測に、黒潮町の担当者は「地震はいつ来るか分からず、町としてやるべきことは変わらない」などとしている。自治体側も混乱することなく、防災対策を進めてほしい。
 そこで大事になるのが、県内各地に設けられている自主防災組織だ。地域に身近な組織だからこそ、万が一の時に共助の大きな柱になる。
 ただ、自主防はあっても活動メンバーが徐々に高齢化したり、若手の参加が少なかったり課題も指摘されている。お年寄りら災害弱者と住民のつながりが薄ければ、共助はうまく機能しない。
 予測を発表した政府の責任はむろん重い。防潮堤などハード整備は、個々の自治体の力だけでは到底無理だ。予測を基に、命を守るためにはどんな対策が有効か。住民を不安に陥れないように整備の将来像をしっかり示す必要がある。

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