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2019.07.19 13:28

夏にも必要「猫バンバン」 ボンネット内の巻き込み事故 ドライバーに思わぬ負担も

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通勤途中の車内。どこからか「にゃー、にゃー」という鳴き声が聞こえた直後、バタバタッと物音がして慌てて車を停めた。まさかー。高知市大津の男性会社員(39)がJAF(日本自動車連盟)に連絡を取り、駆けつけた隊員がボンネットを開けて調べると、1匹の子猫が息絶えていた。

車体下からエンジンルームやタイヤの間に猫が入り込んで命を落とす事故が後を絶たない。JAFによると、今年1月の1ヶ月間に全国で25件の救護依頼を受けている。エンジンルームの下はところどころ空洞になっているため、数cmの隙間から猫が侵入し、ベルトなどに巻き込まれて命を落としてしまう。ドライバーにできる防止策として広がりを見せているのが「猫バンバン」だ。

2015年に日産自動車が、冬場に暖を求めてエンジンルームに猫が入り込むトラブルが多いことを受け「猫バンバンプロジェクト」を開始。車のエンジンをかける前にボンネットをバンバンとたたくことで中に入り込んだ猫の避難を促すもので、ドライバーらの間でじわりと浸透。特設サイトやSNSを展開し、twitterでは現在までに70万件以上の「#猫バンバン」ツイートが投稿されており、「寒くなったら猫バンバン」の意識が広がっている。

日産自動車のキャンペーンサイト(スクリーンショット)



ただ、猫の侵入トラブルは冬に限ったものではない。JAF高知支部の担当者は「猫の救護依頼は年間を通じて受ける。夏にも猫バンバンの意識が必要」と話している。twitterではこの夏にも、猫の侵入を発見したユーザーが写真付きで実際の様子を投稿しており「夏にも(猫が)侵入するのか」「夏も猫バンバンが必要とは知らなかった」といった声も出ている。

また、あまり知られていないのが、事故の「その後」。

今回高知市でトラブルに遭った男性は、JAFによる約1時間の点検作業後、自走で近くの整備工場に向かい、修理点検と清掃を受け約1万円を支払った。対応した整備士によると「事故の状態によっては清掃費がもっとかかる」という。また、一般的に車両保険は車同士の衝突や自損事故などを想定しているため、猫の巻き込みによるエンジントラブルは保険の対象外になるケースも多く想定外の費用がかさむケースもあるようだ。

エンジンをかけるとベルト部分が高速で回転する。ここに猫が巻き込まれると死骸の損傷もひどくなる。


エンジン部分などの損傷がひどく自走できない時はレッカー対応となり、JAF非会員の場合、基本作業費やつり上げ費、1kmあたり720円のレッカー費などを含めて数万円以上かかるケースもある。

さらに、猫の死骸処理は基本的にドライバーが担うため、突如死と向き合わねばならない心理的な負担も大きい。男性は引き取った猫の死骸を火葬するため市内のペット霊園に車を走らせ、午後から職場に向かったが、仕事中も気分が落ち込んだ。自宅には2匹の猫がいる。「不幸な事故がもう起きないように」と取材に答えてくれた。

乗車前のひと手間で救える命がある。小さな命をしっかりと見つめたい。

■やってみよう 猫バンバン■

「猫バンバン」という言葉から、ボンネットを強く叩くイメージを持つ人も多いが、強く叩きすぎると、おびえた猫が逆に動けなくなってしまうこともあるので、軽く音を出す程度でOK。

またtwitter上では、「猫バンバンしても出てこない」「バンバンした後ボンネットを開けたら猫がいた」といった投稿も。ボンネットを開けるまで猫の存在が分からないケースがあることも心に留めておきたい。

▼ご参考に 動画を作ってみました



(文・動画・作曲/木田名奈子)

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