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【パラリンピック】声援とともに考えたいこと

(2018.03.09 08:00)

 選手も観戦者も五輪の熱気を引き継ぎたい。韓国・平昌(ピョンチャン)できょう、冬季パラリンピックが開幕する。
 18日までの10日間、アルペンスキーやスノーボードなど6競技80種目が行われる。49カ国・地域の570選手が出場する見込みだ。
 いずれも過去最多となる。五輪に比べ出場国はまだ少ないが、大会の注目度は確実に高まっている。
 日本からは車いすカーリングを除く5競技に38選手が挑む。
 ベテラン選手が多い。例えばスノーボードの山本篤選手は35歳だ。夏季のパラ陸上男子走り幅跳びの第一人者としても知られる。「二刀流」の挑戦に世界の注目が集まる。
 若手の成長にも期待がかかる。ノルディックスキーとバイアスロンの阿部友里香選手はメダルを逃した前回ソチ大会後、国際大会で優勝するなどの実績を上げている。
 日本選手団はソチ大会の6個を超えるメダル獲得を目指している。どの選手も4年間、厳しい練習に耐えてきた。悔いの残らない競技をしてほしい。
 各国の選手の健闘や記録も見どころだ。そのためにも、アスリートファースト(選手第一)やフェアプレー精神を徹底したい。
 パラリンピックは1948年、英国の病院で開かれた車いすアーチェリー大会が原点とされる。
 戦争で脊髄を損傷した兵士の治療として始まった。競技を通じて障害への偏見をなくし、障害者の社会参加につなげる狙いもあった。
 やがて、さまざまな障害のあるアスリートが各種競技に参加する国際スポーツ大会へと発展する。パラリンピックは回数を経るごとに競技も高度化し、スポーツとしての魅力を増している。
 困難を克服し、限界に挑む。多様性を認め、個性や能力を存分に発揮する。パラリンピックにはスポーツの本質があるからこそ、見る人の共感を呼ぶ。
 開催国・都市ではまちのバリアフリー化も進む。日本パラリンピック委員会はパラリンピックを「共生社会を具現化するための重要なヒントが詰まっている」とする。
 だが、課題は多い。障害者の間に「分断」が生まれることを心配する声は重く受け止めたい。
 トップ選手が注目されることで、社会の中に、障害を乗り越え自立する「できる障害者」と、「できない障害者」に区別する価値観が広がりかねない、との懸念だ。
 2020年東京パラリンピックの開催についても、障害への「理解が進まない」と考える障害者が多いことが民間調査で分かった。障害者のスポーツ参加が地域で進んでいない現状を指摘する専門家もいる。
 パラリンピックが分断を招いたり社会参加を遠ざけたりしては本末転倒だ。競技の高度化やメダルばかりに目を奪われてはならない。
 選手に五輪に劣らない声援を送るとともに、パラリンピックの意義をいま一度考える10日間にしよう。

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