2014.09.05 08:23
子育ち支縁 第2部(2) LINEの言葉も過激に
一昨年、高知市の高校3年の女子生徒がスマートフォンで友人たちにメッセージを送った。すぐさま返ってきた返事は―。
「何考えちゅうが!! そんなヒマあるわけない 忙しいわ!!」
使ったのはLINE(ライン)。2011年から提供されている、スマートフォンなどで利用できる無料通信アプリだ。複数のメンバーとグループ談議のようにメッセージのやりとりができる機能もあり、メッセージは画面に漫画の吹き出しのようになって現れる。
自分の“吹き出し”の下にあった先のメッセージを見て、彼女は思った。「(同じグループの)みんなが見ゆうのに。こんな返信、キツすぎやん…」
この後、“談議”には誰も加わってこなかった。返信した子はグループを退会していった。
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中学校や高校の教員たちを悩ます携帯電話、スマートフォンによる主な生徒間のトラブルは大きく二つ。一つが「言葉」によるものだ。
1990年代末、それは携帯電話で利用できるようになったメールで起き始めた。ささいな言葉の行き違いから、ののしり合い、けなし合い…。当時から「文字だけで伝わる情報量は、対面のコミュニケーションよりはるかに少ない」「対面の方が表情、声のトーンで感情も伝わる」といった指摘もあった。
ただ、今や若者たちはメールアドレスを交換しない。「ラインのID教えて」が親しくなった者同士のあいさつ。無料ということでそれほどまで広がっている。
トラブルの場もラインに変わった。違うのは1対1ではなく、グループの第三者が見ている前でも言葉が過激化することだ。
「あいつ気に入らん。不登校にしちゃろうか」「(メッセージ読んでも)返事も書いてこん。死ねばいいのに」「きちんと敬語使え。部活やめらすぞ」。県内各地の中学校が把握したラインでの文言である。
県中部の高校。ある部活動では連絡網としてラインを使っていた。が、いつの間にか部員同士の口げんかの場に。顧問の教員はラインを使うのをやめた。
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高知市の中学校教員(48)の解説。
「“やんちゃ”なグループだとボスがいて、その子に同調するというような力関係がある。言葉が過激化するグループは、生徒指導を受けることのない子たちで、力関係はなく平等。なので言いやすいのかもしれない」(編集委員・塚地和久)
《データ》
携帯電話、スマートフォンの所有者に「交友関係でのもめ事・けんか」の有無を質問。小6.0%、中5.2%、高4.6%だった。推計人数は小340人、中630人、高860人。(県教育委員会・県警の12年度調査)