2024年 04月25日(木)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

高知新聞PLUSの活用法

1997.09.17 08:07

こうちカワウソ今昔 第3部(1) 環境教育で受け継ごう

SHARE

廊下のレリーフにも魚を追うカワウソが。上分小はカワウソを環境教育に生かしている(須崎市上分)

第3部 何が見えますか
 須崎市上分の上分小学校(大山節子校長、七十六人)に先月、かわいいシンボルマークが誕生した。

 「カワウソのカーくん」。帽子をかぶってサロペットをはいたキャラクターは、六年生の女の子がデザインした。名前は一年生の男の子が考えた。二十一日に上分小で行われるイベント「みどりの上分 夢冒険」に向けて、みんなでアイデアを出し合った。

 「カーくん」はいろんな所で活用されている。玄関の掲示板のカレンダー。イベント当日に着るトレーナー。すぐ前を流れる新荘川の学校橋にもマーク入りの看板が立っている。

 しかし、なぜまたカワウソがシンボルに?

 「そこの新荘川は、昭和五十四年に最後にカワウソが顔を見せた川ですから。学校橋の下でも泳いだんですよ。ほら、この本に思い出話が出てます」

 校長室で大山校長が開校百周年記念誌を開いて説明してくれた。その記念誌の題名が「かわうその里」。なるほど縁が深い。

 まだある。上分小は週一回の朝自習で、全校挙げて視写に取り組んでいるが、これを「かわうそタイム」と呼んでいる。廊下に飾ってある卒業生製作の和紙のレリーフにも、新荘川で魚を追うカワウソの姿が。うーむ、これはまさしくカワウソ小学校…。

    ◇

 新荘川からカワウソが姿を消して十八年。流域の住民でカワウソを実際に見たことがある世代は、子供たちの親か、それ以上の年齢層になってしまった。かつてカワウソが遊んだ清流も、このごろはだんだん汚れが目立ってきた。

 そこで上分小は、環境教育に力を入れている。子供たちにとって新荘川は小さいころからの遊び場所。これを教育に生かすことで自然と触れ合う機会を増やし、身近な環境問題に主体的に取り組む子供の育成を目指そうという発想だ。

 平成五年度から地域とともに取り組んでいるのが「清流を守る事業」。この夏もPTA、公民館と協力して河原の草刈りや清掃をした。また水生昆虫の調査も実施。これをもとに、例えば二年生は生活科の授業で新荘川の水を考えた。

 朗読集会で、環境の大切さについて意見を発表したのは五年生だ。つてを頼り、昭和五十四年に新荘川に現れた最後のカワウソの写真を借りてきて、全校のみんなの前で紹介した。

 発表を通じて、五年生たちはいろんなことを考えた。昔、当たり前に見られた動物がなぜ見られなくなったのか。動物が絶滅するってどういうことなんだろう。そんなに地球は汚れてきたのか。お母さんたちはカワウソと一緒に泳げてよかったなあ…。

 ある女の子は、カワウソ写真の提供者にこんなお礼状を出している。

 「今はいないけど、また川をきれいにしたら、かわうそも出てくるかもしれないなと私は思います。だからこれからは、もっともっと新荘川を自分たちの手できれいにしていきたいです」

    ◇

 「こうちカワウソ今昔」は、第一部でカワウソの「昔」、第二部で「今」を紹介した。第三部は「これから」。さまざまな取り組みを通じて、カワウソの教訓を将来にどう生かすかを考える。

この記事の続きをご覧になるには登録もしくはログインが必要です。

高知のニュース こうちカワウソ今昔 N科学・環境

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月