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【米安保戦略】危うい内向きの思惑

(2017.12.20 08:00)

 国際社会に対立の火種をまき散らすようなものではないか。
 トランプ米大統領が初の「国家安全保障戦略」を公表した。政権の包括的な安保政策で、「米国は再び強くなる」と掲げ、持論の「米国第一」主義を前面に打ち出した。
 台頭する中国、さらにロシアなどを「米国に挑戦する勢力」と決めつけ、軍事力の強化や経済力の再建により米国の「優位性を保つ」との姿勢を強調した。
 オバマ前政権が軍事力優先から脱却し、国際協調や外交を軸に危機の克服や課題の解決に臨むとした安保方針を転換した。「力による平和」の堅持を戦略の柱の一つに据え、対話重視からの決別を国際社会に鮮明にした。
 際立つのは、中国、ロシアへの対抗意識だ。トランプ氏は「新たな競争の時代に入った」と表明し、米国とは異なる価値観で国際秩序の書き換えを狙う「修正主義国家」としてけん制した。
 南シナ海などへの中国の軍事的な海洋進出や、ロシアによるウクライナ南部クリミア半島の強制編入への批判があるという。中国主導の現代版シルクロード構想「一帯一路」などによるインド太平洋地域への影響力拡大に対する危機感も背景として指摘される。
 核や弾道ミサイル、化学兵器開発で米国の安保環境を脅かす北朝鮮やイランを「ならず者政権」として名指しし、過激派組織「イスラム国」(IS)など国際テロ組織も厳しく非難。強硬手段も辞さない構えを改めて通告した形だ。
 一方で、トランプ氏は11月の中国訪問で習近平国家主席と北朝鮮制裁や、米国が巨額赤字に陥っている貿易不均衡の是正に協力する方向で一致したばかりだ。外交的な「駆け引き」があるとしても、ちぐはぐ感は否めない。
 米国内の世論調査でトランプ氏の支持率は低落し、大統領選を巡るロシア干渉疑惑への特別検察官の捜査も進む。国内の各選挙でも「反トランプ」の風が強まり、民主党の躍進を許している。
 来年秋にはトランプ政権が本格的な国民審判を受ける中間選挙が迫る。国益最優先の姿勢をむき出しにした安保戦略には、国内の支持者へのアピールという内向きの思惑が色濃く漂う。
 利害対立する他国への敵視政策をことさらうたい、国内の不満のはけ口にし、政権の求心力にする。過去の惨禍の歴史から国際社会が学んできた禁じ手である。
 エルサレムのイスラエル首都認定をはじめ、トランプ氏こそ国際協調をかき乱し、反米感情をあおってきた張本人である。世界の安定と繁栄を主導すべき超大国のリーダーとして、その威信を自らおとしめていないか。
 トランプ氏は「力による平和」に絡め、同盟国に「公平な負担」を求めた。日本も平和主義の矜持(きょうじ)が試されかねない。

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