ひとつの大家族である「高知家」が、ますます元気な家族となるよう、
さまざまな発信をしてまいります。
海底が盛り上がってできた大地 山の上で育む、サツマイモ
ホクホク甘い焼き芋には、大地のパワーがいっぱい
昔々、ここは海の底だった 梼原での紙漉き、酪農体験、四国のいのちの水に触れる体験、鏡川での魚釣りと、高知の原風景に触れてきた、「こうち体感ツアー」。今年最後のツアーは、秋の味覚サツマイモの収穫を体験しつつ、ユネスコ世界ジオパークに認定されている室戸の地形について学びました。
 気持ちの良い秋晴れの11月10日。行当岬の駐車場に7組の親子が集合し、バスに乗り換えて向かったのは、崎山台地にある竹石虎男さんの芋畑。クネクネとした山道を登る途中、木々の間からキラキラと光る海が見えます。
 15分ほどで到着し、まずは室戸ジオパーク推進協議会の地理専門員、中村有吾先生のお話。室戸岬は巨大地震のたびに隆起を繰り返し、平らな土地が階段状に広がる「海成段丘」という地形です。竹石さんの畑がある崎山台地は、12万5千年前には海の底だった場所。辺りの小石を拾うと角がない丸石で、波に洗われて海にたどり着いた物であることを示しています。
 ここは潮風が吹くため作物にとっては厳しい環境となりますが、その分一生懸命土から養分を吸収するので、おいしいサツマイモに育つのだとか。土の酸性度が強く「最初は芋が太らず苦労した」という竹石さんは、畑の土づくりに試行錯誤を重ね、大きなサツマイモが育つ畑になりました。
 「今日はこの畝の芋を掘ってもらいます。こうやって力を入れて引いて」と竹石さんがお手本を見せてくれます。手にした株には、大小のサツマイモがぎっしり。辺りに土の香りが広がります。「さぁ、やってみて」の声に、子どもたちは一斉に格闘体勢に。「うわ、重い!」「でっかいのが取れたぁ!」とにぎやな声が響きます。
 畑の真ん中では、竹石さん自作の焼き芋機が煙を出し始め、いい匂いが漂う中での作業となりました。
掘りたて、焼きたて、いただきます みんなで掘ったサツマイモが集められ、三つのコンテナはあっという間にいっぱいに。いくつも連なっている芋を一つずつはさみで切り離し、表面の細かなひげ根を取っていきます。「空気中の水分を吸収するので、ひげ根があった方が長持ちしますが、食べにくいので取ってから出荷しています」と竹石さん。みずみずしさを保つためには、一番太いしっぽのような根を残すことが肝心です。軍手をはめた手で、根気よく丁寧にひげ根をむしり取り、つるりときれいなサツマイモになりました。
 作業が終わり、室戸の海岸の石を使って焼き上げた焼き芋でおやつタイム。サツマイモはじっくりと火を通すことで甘さが増し、ホクホクの食感になります。アツアツの焼き芋を頰張る参加者から、「おいしい!」「甘い」「蜜がたっぷり!」という声が聞こえてきました。
 1人2.5kgのサツマイモをお土産にもらって、一行は室戸岬を見渡す「国立室戸青少年自然の家」の展望台へ。「ここは芋を掘った農地よりもさらに高い台地で、30万年前に海の底だった場所です」と中村先生。室戸岬周辺の岩や地層、化石など、室戸は大地の誕生を間近に見ることができる地質学の宝庫なのだそう。室戸岬を眺めながら、岬の上にも台地があることを確認し、変動する地球のパワーを実感しました。
 子どもたちからは「学校の芋掘りは土が硬くて大変だったけど、今日は軽々と掘れた」「焼き芋がとってもおいしかった」「毎日、朝昼晩食べたい」などの感想が聞かれました。たくさんのサツマイモをもらい、その調理法を聞くと、みそ汁やフライパンでの切り焼き芋、芋ご飯などなど。竹石さんによると、サツマイモは湿度のある14度くらいの場所で保存すると、2カ月くらいはおいしく食べられるのだそう。段ボールなど通気性の良い暗い場所で保存すると良いと教えていただきました。
 2018年の最終回は、地球の神秘と大地の恵みに触れた体感ツアーとなりました。