ひとつの大家族である「高知家」が、ますます元気な家族となるよう、
さまざまな発信をしてまいります。
伝統ある形に
よく飛ぶ秘密あり!
大空に舞う
土佐凧の雄姿
材料は和紙と割り竹と麻糸のみ。昔ながらの作り方で、丁寧に。バランスを考えて、重さを左右対称にするのがコツ。
せせらぎ会 会長
秋山 征男さん
野市町土佐凧保存同好会の初代会長は、お父さん。若い頃から土佐凧に触れ、製作技術、凧揚げ技術を磨いてきた。100畳の大凧を揚げ始めて10年。材料が少なくなって難しいこともあるが、小学生向けにワークショップなどを行い、地域の大切な文化として守り、受け継いでいる。
土佐だけにしかない独特の形状
 お正月遊びの代表格として親しまれてきた凧揚げ。香南市では毎年、100畳の「大凧揚げ」が行われ、冬の風物詩として知られています。「こうち体感ツアー」の第5回は、土佐凧作りと凧揚げ体験。寒風が吹く1月21日、会場の高知職業能力開発短期大学校に9組の親子連れや家族が集まりました。
 今回の講師は、40年以上にわたって大凧揚げを行っている「野市町土佐凧保存同好会」会長の木下洋一さん。机の上にはのりや割り竹、カッターなどが用意されています。参加者たちは、事前に配られた和紙に描いてきた力作の凧絵を広げ、木下さんの話に耳を傾けます。
 土佐凧は、胴骨と肩骨を組んで土佐和紙を貼った正方形の凧で、横骨の「ぶんぶ」は着脱可能で、折り畳んで持ち運べるのが特徴です。また、真ん中の胴骨に付けた「ちもと」という3本の糸だけでバランスを取って揚がるのも土佐凧ならではの構造です。3メートルほどの大きさの親凧なら5本、100畳の大凧でも真ん中に並ぶ12本のちもとだけで、風を受け、風を逃がしながら揚がります。
 いよいよ凧作りが始まり、まずは凧絵に割り竹をのり付け。「竹は青い皮の方が強いです」と、皮面が表になるように貼り付けます。セロハンテープや両面テープを使うと修理ができなくなるので、木下さんが使うのは水で薄めた洗濯のり。長細い和紙にたっぷりとのりを付け、凧の肩骨と胴骨を凧に接着し、三角形に切った和紙で四隅を補強しました。
 凧の形ができたら、ぶんぶを取り付けるための細工。削ったり、穴を開けたり、細かい仕事はお父さん、お母さんの出番。腕立ちのおじいちゃんが大活躍する家族も見られ、ぶんぶの端に凹型の切り込みを入れ、両肩骨に結んだ糸に凹型を引っ掛けて、折り畳み土佐凧が仕上がりました。
風をつかみ、風に合わせる妙技 凧作りの山場は、なんといってもちもとの位置決め、長さ決め。適当に付けても凧は揚がりません。「凧の中心から、ここと同じ長さを上に向かって取り、さらにその上3センチが一番上のちもと。その下17センチが二つ目、さらにその下23センチが三つ目」という難題に、大人たちも四苦八苦。ちもとが付いたら、3本の糸をまとめて一つに結びますが、この角度も大事。風の強い日は風を流すように凧を前傾させ、風が弱い日にはしっかり風を受けるよう、凧を立て気味に角度を調節してちもとを張ります。
 胴骨の下部にジャーラという尻尾を付けたら、いよいよグラウンドでの凧揚げ大会。難しい作業に疲れていた子どもたちも元気いっぱいに張り切ります。「せーのっ!」と、走り出すと、少し揚がってはクルクル回って墜落。高く揚がっている凧もありますが、そう長くは続きません。
 木下さんが「これはいかん」と笑いながら全員を集めて揚げ方指南をしてくれました。「風がどっちに吹いているかよく感じて、風に向かって走ること。風が強く吹いているときは走らずに、凧を見ながら糸を操作します。クルクル回り出したら糸を緩めて、立て直しができたら引いて」。そう言いながら揚げ始めた凧は、大空にぐんぐん揚がっていきました。
 「建物の陰は風が回るから難しい。建物の屋根を越えるくらい揚がったら安定する」と、凧揚げに適した条件も教えてくれました。「よし! それなら」と再度挑戦する子どもたち。お父さん、お母さんも熱が入り、多くの凧が風を受けて気持ちよく大空を舞いました。
 中には壊れてしまった凧もあり、木下さんが修理の材料を渡しながら「たっぷりと水をつけて置いておいたらすっと剥がれるのが和紙のえいところ。乾いたらもう一回やってみて」とアドバイスしました。
 「凧は、新しいほど壊れやすく、揚げたり畳んだりしているうちに紙が柔らかくなって破れにくくなる」と木下さん。「来年はもっと揚がると思うので、ぜひ凧揚げ大会に出てください」という言葉に、大きくうなずく参加者もいました。「面白かった」「よく揚がってびっくりした」「またやってみたい」などの声が聞かれ、「家族で楽しむお正月」の風景が見られた一日でした。