Let’s go o-henroad! 「お遍路ードプロジェクト」について

119日目「1月遍路の最終日、奈半利町で意外な人に再会」(2016年1月21日)

歩数 15827歩
距離 9.4km
消費カロリー 469kcal

 宿を8時半に発ち、バスで前日の最終地点・加領郷まで移動した。昨日ほどではないが相変わらず冷たい季節風がほぼ正面から吹き付けてくる。防風機能のある登山用ジャケットの下に薄いフリース、その下に化繊の温かい下着を着けているはが、それでも寒い。ジャケットの上からさらに雨具を重ねて、フードをかぶる。持ってきたウエアをありったけ着込む総動員体制である。
 昨日今日と2日連続の厳しい寒さと強風。1月遍路の後半は予想外のシビアな歩きとなった。高知県に戻ってきたことに無邪気に浮かれていた尺取り虫遍路隊に対し「まだ終わってもいないのにはしゃぐでない」というお大師さまのメッセージに違いない。大いに反省しつつ、一歩一歩前に進むしかあるまい。

 国道55号の小さな切り通しを越えると奈半利の町並みが見えてきた。「→二又」の道路標識を過ぎたあたりで、ハザードランプをつけた軽トラが道路脇に停まっている。近づくと助手席から小柄なおばあちゃんが飛び出してきて「黒笹さーん!」と手を振りながらこちらに歩いてきた。
 しわくちゃの懐かしい顔(失礼!)、浜渦節(はまうずせつ)さんである。運転席からはゆっくりと夫の茂明さんも降りてきて「いやあご無沙汰しています」「お元気そうですね」というあいさつ交換となった。
 浜渦さんご夫妻は北川村柏木に住む実生のゆず農家。黒ちゃんは10年以上前にビーパルというアウトドア雑誌の取材で知り合い、高知へ移住してからも年賀状のやり取りをしていたのである。
 竹内記者の記事で近くを通過することを知り、待ち構えていてくれたのである。高知新聞朝刊の黒ちゃんと竹内記者のお遍路の記事は、ずっと読んでくれていたようで「去年の愛媛のなんとか寺のときも寒かったでしょう?」と気遣ってくれる。
 「そうか、そんなころからずっと読んでいてくれたんだ」と思うと、嬉しくて涙がこぼれそうになる。竹内記者も「うん、うん」といってノートを取り出しメモを取りながらていねいに話を聞いている。いかにも新聞記者らしい立派な取材態度である(笑い)。
 「どこかでゆっくり話しましょう」ということになり、少し先の田野駅屋で待ち合わせることにしたのだが、節さんが「私は一緒に歩く」と言い出した。「でもまだ1km以上先ですよ」と言っても聞かない。しょうがないので3人で田野駅屋までゆっくり歩いた。冷たい風が節さんのマフラーをはためかせている。
 奈半利川の橋を渡りながら「この橋を歩いて渡るのは何年ぶりかしらね。あなたたちのおかげよ」と言う。一緒に歩いただけでこんなに喜ばれるなんて。歩き遍路冥利につきる。再び黒ちゃんの涙腺がゆるむのであった。
 田野駅屋の食堂で竹内記者はカレーライス、黒ちゃんはかき揚げうどんのお接待をいただき、さらにお土産まで託されて別れた。自分たちの孤独な(笑い)歩き遍路を遠くで見守ってくれていた人に会えたことが嬉しくて、ふたりとも心なしか足取りが軽い。
 午後1寺過ぎに安田町にあるお遍路さんの休憩所「安田まちなみ交流館和(なごみ)」で1月遍路最後の歩きを終えた。来月はここ安田町からのスタートである。

 1月遍路は室戸市佐喜浜町入木から室戸岬をぐるりと回り込み、安田町までを歩いた。地図で俯瞰すると、ちょうど三角すいの形をしている室戸の半島の東の付け根から西の付け根までを歩いたことになる。
 前半はおだやかでのどかな室戸の東の海を、後半は荒れ狂う猛々しい西の海を見せてもらった。そして佐喜浜、室津、奈半利の町で地元の人たちの人情にも触れた。「西に比べて東はよそ者に冷たい」という黒ちゃんの先入観を見事にひっくり返された一週間でもあった。
 旅行パッケージ的に表現すれば「6泊7日室戸・中芸地区丸ごと堪能パック」。敏腕ツアコンでもあるお大師さまの見事なアテンドぶりであった。

 室戸岬めぐりの3寺打ちを終えて一句
 <向かい風 みさきめぐりの 頬を打つ>

 高知新聞朝刊「ハマちゃんと歩く1202年目の88か所」と、黒ちゃんのブログ「釣りときどきお遍路」日記に1週間お付き合いいただき感謝です。来月はいよいよ結願の月、2月上旬より歩き始める予定です。ご期待ください。

黒笹慈幾


「加領郷西入口」バス停から200mのところにあるロードサイドの果物屋さん「福ちゃん青果」。店主の岩崎さんは黒ちゃんの知り合いで、お母さんの後を継いでこの店を切り盛りしている。「お遍路さんの休憩、大歓迎です」


奈半利町の中心部にさしかかる手前の道路標識。ついに高知市内まで60kmを切った。


遠くに見えるのは大山岬あたりか。強い西風はやや収まりつつあるが、海上はまだ荒れ模様である。


奈半利町の貯木場には山から切り出されたばかりの大量の杉材が積まれていた。これからどこへ運ばれるのだろうか。


奈半利町の中心部にあったお遍路休憩所。


奈半利の喫茶店「高田屋」で小休止を兼ねてコーヒータイム。前日に書いた自分の記事を確認する竹内記者。高知県に入ってこの楽しみが増えた。


北川村の実生ゆず農家、浜渦茂明さん、節さんご夫妻。我々が通過することを新聞記事で知り、山を下りて会いに来てくれたのだ。黒ちゃんとは10年以上前からの知り合いだが、久々の再会である。


80歳の節さんと歩いて奈半利川を渡る。元おてんば娘(失礼)だけあって、足取りはまだまだしっかりしていて、1km以上をゆっくり歩いた。


清流安田川を渡る。この川は黒ちゃんの夏の鮎釣りのホームグラウンド。


安田町から馬路村方面を望む。来月は左に見える尾根伝いに27番札所の神峯寺(こうのみねじ)を目指す。


安田町の中心部にある安田まちなみ交流館「和」に立ち寄り、お茶とお菓子のお接待を受けた。


今日の宿、安芸市内のホテルまで「ごめん・なはり線」安田駅から列車で移動である。


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