Let’s go o-henroad! 「お遍路ードプロジェクト」について

116日目「だるま朝日のしあわせをいただく」(2016年1月18日)

歩数 14368歩
距離 8.6km
消費カロリー 391kcal

 朝7時すぎに「民宿徳増」の食堂で朝ごはんを食べていると、若旦那の和也さんが大声をあげた。
「ひゃー、今日のはすごいよ!」
 あわててサンダルをつっかけて外に出てみると、真っ赤に熟したトマトのような太陽が水平線に頭を出したところだった。何がすごいのかというと、これから「だるま朝日」が見れるかもしれないのだ。
 インターネットで調べると、朝日や夕日などが「だるま」になるのは「だるま太陽」という太陽の蜃気楼現象の一種で、水平線に朝日や夕日が「だるま」のように歪んで見える現象だという。英語ではオメガサンというらしい。息を呑んで見守るうち、太陽がその全身を水平線の上に乗せる直前の、わずか15秒間くらい確かに「だるま」の形になった。
 黒ちゃんはお遍路で県西部の宿毛の宿に泊まった時に、ロビーに飾られていた「だるま夕日」の写真を見たことがあったが「だるま朝日」というのもあるのだ。だるま朝日も夕日も見た人に幸運をもたらすという。なんだか自慢したくなってFB(フェイスブック)に写真を投稿したら、たちまち「おめでとう」のメッセージがたくさん届いた。

 ところで、縁起物の「だるま朝日」と「だるま夕日」を両方見ることができるツアーっていいんじゃないかと考えていて「あっと」気がついたのである。我々が今やっている四国の歩き遍路こそ、まさにそのツアーなんだと。お大師さまが優秀なツアーコンダクターだと繰り返し強調してきた黒ちゃんであるが、まさにこのことひとつをとっても四国遍路は人々に幸せをもたらす「招福の旅」なのだと思った。

 徳増のおばあちゃん、おかあさんに見送られて8時半出発。民宿徳増には昨日と一昨日と連泊したが、食事が美味しくて居心地のいい家族的な宿だった。若旦那の和也さんの車で最御崎寺の門前まで送ってもらう。
 昨日はテレビの撮影もあってゆっくり参拝できなかったので、改めて本堂と大師堂の前で手をあわせる。ちなみにお賽銭と納経は昨日済ませてあるので今日は参拝だけである(笑い)。
 最御崎寺のご本尊は虚空蔵菩薩、唐から帰国した翌年に空海が寺を創建し、刻んだ像と縁起にはある。古くから真言密教の道場とされていて明治5年に女人禁制が解かれるまでは女性のお遍路さんは室戸岬の先端から拝むしかなかったのだという。これって、今ならば確実に最高裁の違憲判決が出るところだ(なんのこっちゃ)。

 さて。室戸岬を回りこみ、岬の東から西の世界へ。今日はここから西へ歩き始める。国道55号よりやや山寄りの旧道をゆっくり室戸市中心部を目指して歩く。東側の海岸線と違って人の匂いが濃い。海と風の匂いもまったく違う。岬が何百年もかけて分けてきた東と西の世界の違いを肌で感じながら次の札所がある室津を目指す。
 途中、室戸岬港の魚市場やドルフィンセンター、黒ちゃんの知り合いの干物屋さんなどを冷やかして、2時間ほどで室津の港を見下ろす高台に建てられた25番札所・津照寺(しんしょうじ)に到着した。

 境内には中年のカップルが一組だけいて、完璧なお遍路ファッションで見事な般若心経と真言をそらで唱えていた。黒ちゃんは大いに感心して、彼らの般若心経に便乗してやや入念に手を合わせた。津照寺は地元では「津寺(つでら)」と呼ばれていて、ご本尊は延命楫取(かじとり)地蔵。土佐藩主山内一豊が室戸沖で暴風雨にあったとき、ひとりの僧が現れて船の舵を取り、無事室津の港につけて立ち去った。この僧が後に本尊の地蔵菩薩であったことがわかり、この名がついたと縁起にはある。
 津照寺を打ち終えたのがちょうど正午。お腹も空いたので、今日はここで打ち止めとした。

 生まれて初めてだるま朝日を拝して一句
 <招福の 朝日が朝餉 旅の宿>

黒笹慈幾


室戸の海に昇る「だるま朝日」。見た人に幸運をもたらすという。


朝の最御崎寺の本堂。昨日に続いて参拝。無事高知に帰って来られたことを報告、感謝した。


室戸岬の西側に回り込むといきなりこんな眺望が開ける。手前は室津の町、奥は金剛頂寺のある行当岬。


下界に降りると岬の西側は人の匂いに満ちていた。懐かしい郵便ポストも現役で頑張っている。


室戸岬港の船溜り。室戸のすぐ沖には深海の好漁場がある。


室戸岬港の魚市場には、室戸の沖で揚がる高級魚が競りにかけられていた。クロムツ、キンメダイ、メダイ、ウスバハギなどを確認。


室戸岬港のすぐ近くに黒ちゃんの知り合いの干物屋「ナカイチ海産」がある。作業場ではおばちゃんたちに混じって店主の中野さんがカマスの干物を製作中。


室津の港を見下ろす高台に建てられた第25番札所津照寺。正面の赤い建物は鐘楼。長い階段の参道が鐘楼の下をくぐり本堂につながっている。


津照寺の御本尊は延命楫取(かじとり)地蔵。土佐藩主・山内一豊を荒れる海から救ったという伝説がある。


津照寺前の商店で売られていた浜アザミ。天ぷらにすると爽やかな野草の香りがして美味い。


民宿徳増の部屋でブログ「釣りときどきお遍路」日記を執筆中の黒ちゃん。書きやすいので机代わりに室内物干しを使っていたら、竹内記者が面白がって写真に撮られちゃいました。


徳増3日目の夜は、若旦那の和也さんと土砂降りの雨をついて佐喜浜の町に夜遍路に。2日前に昼食のラーメンを食べた「みかど食堂」で女将さんや地元の漁師さんたちと交歓、楽しい一夜だった。


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